2023年6月の星空情報 宵の明星を見てみよう
sorae.jp / 2023年6月5日 17時30分
山の緑が一層濃くなる6月、爽やかな風の中に時折蒸し暑さを感じるようになりました。日本の多くの地域が梅雨入りする時期なので、晴れた空を見られる日も少なくなるかもしれません。
星空が貴重なこの時期、南の空高くを見上げると、オレンジ色の1等星が目に入ります。この星はうしかい座のアークトゥルスです。うしかい座のモデルは諸説ありますが、一説にはギリシャ神話の天を担ぐ巨人の神アトラスだと言われています。6月のうしかい座は天頂付近に上るので、本当に天を支えているように見えます。
アークトゥルスには「五月雨星(さみだれぼし)」という和名があります。五月雨とは梅雨のことであり、梅雨時に空高い場所に上ってくることからそう名付けられたと考えられています。また、麦の収穫時期に上るため、「麦星」と呼ばれることもあったようです。
アークトゥルスから空の低い方へと目を移すと、青白い1等星があります。この星はおとめ座のスピカです。スピカとは「麦の穂先」という意味で、おとめ座の持つ麦で輝いています。アークトゥルスが日本の麦星なら、スピカは西洋の麦星といったところです。
おとめ座のモデルも諸説ありますが、豊穣の女神デーメテールと正義の女神アストレイアが統合した姿だといわれることが多いようです。おとめ座が携えている麦の穂は豊穣、羽ペンは正義を表しているといわれています。
おとめ座の東側にはてんびん座があります。3つの3等星が形作る「く」の字を逆さまにしたような形を目印に、てんびん座の形をたどることができるでしょう。
星座が誕生した頃、秋分の日の太陽はてんびん座の位置にありました。秋分の日は昼夜の時間がほぼ同じになることから、「昼夜を等しく分ける」という意味合いを込めて、てんびん座が描かれたと考えられています。ちなみに、おとめ座のモデルになったとも言われるアストレイアは正義の象徴であるてんびんを手にしており、てんびん座と結び付けて語られることもあります。
現代の日本では、てんびん座は梅雨時の夜空に上ります。その姿はまるで春から夏へと移るタイミングをはかっているようです。晴れと雨を繰り返しつつ、季節はてんびんのように揺れ動きながら、少しずつ夏へと移り変わっていきます。
2023年6月の天文情報2023年6月の星空の主役は金星です。「宵の明星」として西の空に輝く金星は、他の星たちを導いているかのように見えます。また、夏至の頃には金星を含む明るい天体が並ぶ様子も楽しめます。
●金星が東方最大離角
6月4日には金星が東方最大離角を迎えました。最大離角とは内惑星(水星・金星)の地球からの見かけの位置が太陽から最も離れる時点のことです。太陽から離れて見つけやすくなる、いわゆる「見ごろ」の時期でもあります。東方最大離角時の金星は「宵の明星」と呼ばれ親しまれています。
●夏至
2023年6月21日は夏至です。夏至とは太陽黄経(※)が90度になる瞬間を含む日のことで、北半球では太陽が最も高く昇り、昼の時間が最も長くなります。
昼が最も長くなることから、「夏至は日の出が一番早く、日の入りが一番遅い」と考えている人もいるかもしれませんが、実は違います。日の出が最も早いのは夏至の約10日前、日の入りが最も遅くなるのは約10日後です。
今年の夏至は、日没を過ぎた頃に西の空を見ると、月(月齢3.3)、金星(マイナス4.6等級)、火星(1.7等級)、そしてしし座のレグルス(1.4等級)が連なっています。さしずめ夏至の夜空のパレードといったところでしょうか。火星とレグルスはやや暗いため、空の澄んだ場所で観察してみてください。
※…太陽が天球上を通る経路(黄道)の位置を数値化したもの。春分点での太陽の位置を0度とし、夏至は90度、秋分は180度、冬至は270度となる。
Source
Image Credit: 国立天文台, sorae編集部 国立天文台 - 東京の星空・カレンダー・惑星(2023年6月) 国立天文台 - 暦計算室文/sorae編集部
この記事に関連するニュース
-
「星取県」の39地点で天の川がハッキリと…観光資源PRに「星空保全地域」の明るさ調査
読売新聞 / 2024年11月19日 15時58分
-
あけおめ!? 2024年11月12日から火星の新しい1年が始まる
sorae.jp / 2024年11月12日 21時0分
-
2024年11月の星空情報 秋の四辺形から様々な星を見つけよう
sorae.jp / 2024年11月6日 17時23分
-
日没後に細い月と金星が接近 夜はおうし座南流星群も
ウェザーニュース / 2024年11月5日 11時50分
-
★2024年11月の天体イベント★ 月と惑星の接近に注目!流星群の出現も
ウェザーニュース / 2024年11月3日 9時0分
ランキング
-
1斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月25日 11時3分
-
2歯磨きのあとに口をゆすいではいけない…毎日磨いているのにむし歯になる人がやっている「誤解だらけの習慣」
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 6時0分
-
3ISSに到着したロシアの補給船「プログレスMS-29」で異臭と飛沫を確認
sorae.jp / 2024年11月25日 11時21分
-
4【風呂キャンセル界隈】経験者は7割 - 普段の入浴「朝起きた時」派も15%
マイナビニュース / 2024年11月25日 9時27分
-
5充電しながらiPhoneを触ってはいけない? 劣化が早まるリスクも!?【スマホのプロが解説】
オールアバウト / 2024年11月24日 21時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください