1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. 環境・自然・科学

生命存在の可能性さらに高まる? エンケラドゥスの内部海に高濃度のリンが存在か

sorae.jp / 2023年6月16日 21時0分

ベルリン自由大学のFrank Postbergさんを筆頭とする研究チームは、土星の衛星「エンケラドゥス」の内部海(地下海)から噴出したとみられる水の氷粒に含まれていたリンをリン酸塩の形で直接検出したとする研究成果を発表しました。

【▲ 土星探査機カッシーニの狭角カメラで2005年7月14日に撮影されたエンケラドゥス(紫外線・可視光線・赤外線のフィルターを使用して取得したデータをもとに作成)(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)】

【▲ 土星探査機カッシーニの狭角カメラで2005年7月14日に撮影されたエンケラドゥス(紫外線・可視光線・赤外線のフィルターを使用して取得したデータをもとに作成)(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)】

土星探査機「Cassini(カッシーニ)」が土星のE環を通過した際に取得された「宇宙塵分析器(CDA)」の観測データを分析した研究チームによると、エンケラドゥスの内部海には様々な水溶性のリン酸塩に含まれる形でリンが存在しており、その濃度は地球の海と比べて少なくとも数百倍、場合によっては数千倍から数万倍に達する可能性があるといいます。土星のE環はエンケラドゥスから噴出した物質で構成されていることが知られています。

【▲ エンケラドゥスから噴出するプルーム(水柱、間欠泉)。土星探査機カッシーニの狭角カメラで2009年11月21日撮影(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)】

【▲ エンケラドゥスから噴出するプルーム(水柱、間欠泉)。土星探査機カッシーニの狭角カメラで2009年11月21日撮影(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)】

内部海の海水に高濃度でリンが濃集したのは、アルカリ性かつ炭酸濃度の高い海水との相互作用によって海底の岩石に含まれるリン酸カルシウムが溶け出し、より安定した炭酸カルシウムが形成される過程で、リン酸カルシウムからカルシウムが奪われたからではないかと研究チームは考えています。こうした環境はエンケラドゥスだけでなく、土星やその外側を公転する天王星や海王星の衛星、冥王星の内部などでも整っている可能性があるといいます。

【▲ エンケラドゥス内部の模式図。氷の地殻と岩石のコアの間に深い海が広がっていると考えられている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

【▲ エンケラドゥス内部の模式図。氷の地殻と岩石のコアの間に深い海が広がっていると考えられている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

地球の生命に欠かせないリンがエンケラドゥスの内部海に高い濃度で存在することを示した今回の成果は、今後の太陽系における地球外生命探査に大きな影響を与えるものとなりそうです。Postbergさんたちの研究成果をまとめた論文はNatureに掲載されています。

 

Source

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute NASA/JPL - NASA Cassini Data Reveals Building Block for Life in Enceladus’ Ocean SwRI - Key building block for life found at Saturn’s moon Enceladus 東京工業大学 - 土星衛星エンセラダスの海に生命必須元素リンが異常濃集 Postberg et al. - Detection of phosphates originating from Enceladus’s ocean (Nature)

文/sorae編集部

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください