インド月探査機「チャンドラヤーン3号」着陸後初撮影の画像公開
sorae.jp / 2023年8月24日 20時50分
インド宇宙研究機関(ISRO)は日本時間8月24日、インド初の月面着陸に成功した「チャンドラヤーン3号(Chandrayaan-3)」のランダー(着陸機)に搭載されているカメラで着陸後に初めて撮影された月面の画像を公開しました。【2023年8月24日14時】
![【▲ インドの月探査ミッション「チャンドラヤーン3号」のランダーに搭載されているカメラで着陸後に撮影された月面の様子(Credit: ISRO)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2023/08/Chandrayaan3-landing-site-ISRO-F4OhQjXbkAArkR2.jpg)
【▲ インドの月探査ミッション「チャンドラヤーン3号」のランダーに搭載されているカメラで着陸後に撮影された月面の様子(Credit: ISRO)】
こちらが公開された画像です。比較的平らな表面とそこに点在する小さなクレーターとみられる窪み、右下にはチャンドラヤーン3号のランダーの着陸脚とその影が写っています。
2023年7月14日に探査機が打ち上げられたチャンドラヤーン3号は、ISROによる3回目の月探査ミッションです。探査機は月面に着陸するランダー、ランダーに搭載されているローバー(探査車)、着陸前までの飛行を担う推進モジュールで構成されていて、ランダーには地震計(月震計)など3基、ローバーにはX線分光器など2基の観測装置が搭載されています。
![【▲ 打ち上げ準備中に撮影されたチャンドラヤーン3号のランダー(着陸機)。内部にローバー(探査車)が収納されている(Credit: ISRO)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2023/08/Chandrayaan3-ISRO-ch3_3.jpg)
【▲ 打ち上げ準備中に撮影されたチャンドラヤーン3号のランダー(着陸機)。内部にローバー(探査車)が収納されている(Credit: ISRO)】
日本時間2023年8月23日21時32分、チャンドラヤーン3号のランダーはマンジヌス・クレーター(Manzinus、直径約96km)の南東、月の表側の南緯約69度・東経約32度の目標地点付近へ着陸することに成功しました。ISROは2019年にもオービター(月周回衛星)、ランダー、ローバーで構成された月探査ミッション「チャンドラヤーン2号」の探査機を打ち上げましたが、月周回軌道への投入には成功したもののランダーの着陸には失敗しており、今回はインドにとって2回目の月面着陸挑戦での成功となりました。
![【▲ チャンドラヤーン3号の月面着陸成功に沸く管制室。ISROのライブ配信から(Credit: ISRO)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2023/08/2023-08-23-Chandrayaan3-landing-success.jpg)
【▲ チャンドラヤーン3号の月面着陸成功に沸く管制室。ISROのライブ配信から(Credit: ISRO)】
関連:【速報】インド月探査機「チャンドラヤーン3号」月面着陸成功(2023年8月23日)
今回の成功により、インドは米国、旧ソ連、中国に次いで4か国目に月面着陸を成功させた国となりました。月の南極域へ探査機が着陸に成功したのは、世界でもチャンドラヤーン3号が初めてです。月の南極域はクレーター内の永久影(太陽光が届かない範囲)に水の氷が埋蔵されているとみられることから近年注目されており、アメリカ航空宇宙局(NASA)の有人月面探査計画「アルテミス」をはじめとした宇宙探査の対象となっています。
![【▲ チャンドラヤーン3号のランダー(着陸機)とローバー(探査車)(Credit: ISRO)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2023/07/LVM3-M4-pl.jpg)
【▲ チャンドラヤーン3号のランダー(着陸機)とローバー(探査車)(Credit: ISRO)】
2023年に入って月面着陸に挑んだ月探査ミッションはチャンドラヤーン3号が3番目です。2023年4月26日には株式会社ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1のランダーが民間初の月面着陸に挑んだものの、ソフトウェアの動作が原因で推定高度と実際の高度に約5kmの誤差が生じ、降下中に推進剤を使い果たしたランダーは月面に衝突して着陸に失敗しました。2023年8月21日にはロシアの月探査機「ルナ25号(Luna 25)」による月の南極域への着陸が予定されていましたが、8月19日に実施された軌道修正時に問題が発生して予定外の軌道に遷移してしまった結果、ルナ25号は月面に衝突して失われたとロスコスモスは発表していました。
関連
・月面着陸に至らなかった原因はソフトウェアにあり 民間月探査「HAKUTO-R」続報(2023年5月26日)
・【速報・更新】ロシアの月探査機「ルナ25号」で問題発生 月面に衝突か(2023年8月20日)
2023年8月27日には日本の小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」とX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」を搭載した「H-IIA」ロケット47号機が打ち上げられる予定で、2023年11月以降には南極域への着陸を目指す米国の民間宇宙企業インテュイティブ・マシーンズのランダー「NOVA-C」による「IM-2」ミッションの打ち上げが予定されています。チャンドラヤーン3号による今回の月面着陸成功は、月が再び活発な探査が行われる舞台となりつつあることを改めて実感させる出来事となりました。
なお、ISROによると、日本時間2023年8月24日12時頃までにローバーが月面に降ろされて移動を開始したということです。チャンドラヤーン3号については新たな情報が入り次第お伝えします。
https://twitter.com/isro/status/1694545322251571687
【▲ チャンドラヤーン3号のランダーからローバーが降ろされたことを伝えるISROのX(旧Twitter)公式アカウントの投稿】
Source
Image Credit: ISRO ISRO - Chandrayaan-3 ISRO (X, fka Twitter)文/sorae編集部
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