南天の夜空を駆ける「走るニワトリ星雲」ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡で撮影
sorae.jp / 2024年1月4日 21時8分
こちらは「ケンタウルス座」の方向約6500光年先の輝線星雲をともなう散開星団「IC 2944」とその周辺の様子です。海外では別名「Running Chicken Nebula(走るニワトリ星雲)」とも呼ばれています。
【▲ VLTサーベイ望遠鏡(VST)のOmegaCAMで観測された「走るニワトリ星雲」。複数の輝線星雲や星団が集中する領域が捉えられている(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU)】輝線星雲は若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている星雲で、HII(エイチツー)領域とも呼ばれています。ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、“走るニワトリ星雲”は実際には幾つかの輝線星雲に分かれており、縦横の幅がそれぞれ満月の視直径の約5倍に相当する領域を捉えたこの画像にはその全てが写っているといいます。
画像の中央付近で明るく輝く青い星は「ケンタウルス座ラムダ星(λ Cen)」で、そのすぐ近くに見える上下に伸びた柱状の構造がIC 2944です。星雲で最も明るい左下の部分は「IC 2948」と呼ばれていて、人によってニワトリの頭に見えたりお尻に見えたりするのだとか。また、画像の右側にある3つの輝線星雲は「Gum 39」「Gum 40」「Gum 41」と呼ばれています。
【▲ VLTサーベイ望遠鏡(VST)のOmegaCAMで観測された「走るニワトリ星雲」。冒頭の画像に天体名の注釈やサイズ比較用の月の画像を追加したもの(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU)】この画像はESOが運営するチリのパラナル天文台にある「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」で取得したデータ(5種類の光学フィルターを使用)をもとに作成され、2023年12月21日付で公開されています。VSTによるこの領域の観測は、星がどのようにして生まれて死んでいくのかを理解するために恒星や星雲を可視光線の波長で観測するESOの大規模サーベイ「VPHAS+」(VST Photometric H alpha Survey of the Southern Galactic Plane and Bulge)の一環として実施されたということです。
Source
ESO - New 1.5-billion-pixel ESO image shows Running Chicken Nebula in unprecedented detail文/sorae編集部
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