米民間企業インテュイティブ・マシーンズの月着陸ミッション「IM-1」を振り返る 打ち上げから活動終了まで
sorae.jp / 2024年3月8日 9時43分
日本時間2024年2月23日8時23分、米国の民間宇宙企業インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machines)の月着陸船「Nova-C(ノヴァC)」が月着陸に成功しました。米国としては1972年12月に実施されたアポロ17号以来51年2か月ぶり、民間企業としては世界初の月着陸(軟着陸)です。この記事ではNova-Cによる初の月着陸ミッション「IM-1」の打ち上げから月着陸、そして活動終了までを振り返ります。
<ミッションの概要>![【▲ 打ち上げ前のインテュイティブ・マシーンズの月着陸船「Nova-C」 (Credit: Intuitive Machines)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2023/11/20231107_intuitivemachines_01.jpeg)
「Odysseus(オデュッセウス)」と命名されたNova-Cによる月着陸ミッション「IM-1」はインテュイティブ・マシーンズ初の月着陸ミッションです。2013年に設立された同社は米国テキサス州ヒューストンに本社があります。
IM-1の特色はアメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月輸送サービス(CLPS)の下で選定された6つのペイロードを搭載していることで、インテュイティブ・マシーンズは月までペイロードを運搬するサービスを請け負いました。Nova-CにはNASAのペイロードだけでなく、民間企業や大学からの6つのペイロードも搭載されています。
<打ち上げ>![【▲ ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられた、月着陸船「Nova-C」を搭載したファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/02/20240216_nova01.jpg)
Nova-Cは日本時間2024年2月15日15時5分(米国東部標準時同日1時5分)、スペースXの「ファルコン9」ロケットに搭載されて、米国フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられました。発射48分後に月遷移軌道(LTO:lunar transfer orbit)への投入に成功。Nova-Cは日本時間2月17日までに主エンジンの点火試験に成功し、月周回軌道への投入に向けた大きなマイルストーンを達成しました。
関連記事:スペースXがインテュイティブ・マシーンズの月着陸船「Nova-C」の打ち上げに成功 民間初の月着陸目指す(2024年2月19日)
<月周回軌道への投入>![【▲ 月着陸船「Nova-C」に搭載されているカメラで撮影された月面の画像。月周回軌道投入後に撮影(Credit: Intuitive Machines)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/02/IM-1-Nova-C-Intuitive-Machines-NASA-CLPS-GG5HgueWAAAxaH8.jpg)
インテュイティブ・マシーンズは日本時間2024年2月22日0時22分付で、Nova-Cを月周回軌道へ投入することに成功したと発表しました。Nova-Cは当初の予定よりも1回少ない、2回の軌道修正操作を実施して月周回軌道へ投入され、高度92kmの円軌道を周回しました。Nova-Cに搭載されているカメラは、月周回軌道投入後に月面を撮影し、その写真が公開されました。
関連記事:米民間企業の月着陸船「Nova-C」月周回軌道に到着 2月23日朝に着陸予定(2024年2月22日)
<月着陸>日本時間2024年2月23日8時24分、Nova-Cは月の南極近くにあるマラパートA・クレーター(Malapert A、直径33km)への軟着陸に成功しました。
![【▲ 月着陸船「Nova-C」に搭載されているカメラで撮影された月面の様子。このカメラは機体の上部から下部を見下ろすように取り付けられているが、Nova-Cは月面で横転した状態のため月の地平線が写っている(Credit: Intuitive Machines)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/02/NASA-Intuitive-Machines-Nova-C-IM_Odysseus_surface-768x1024-1.jpg)
Nova-Cは最終的に横転した姿勢で安定した状態で月着陸をしています。このような姿勢は、降下時に高度を測定するデータを欠いたまま降下することになり、当初の計画を上回る速度で着地したため、Nova-Cの着陸脚の一部を損傷したことが原因です。
関連記事
・米民間企業インテュイティブ・マシーンズの月着陸船「Nova-C」が月面に着陸(2024年2月23日)
・米民間企業の月着陸船「Nova-C」月面着陸に成功するも横転した状態か(2024年2月26日)
・米民間企業の月着陸船「Nova-C」月面で撮影された新たな画像公開 着陸時の詳細も判明(2024年2月29日)
![【▲ 月着陸船「Nova-C」に搭載されているカメラで米国現地時間2024年2月22日に撮影された画像。月の地平線上には輝く太陽とその左に三日月状の地球が映っている(Credit: Intuitive Machines)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/03/IM-1-Nova-C-Intuitive-Machines-GHifFAyWwAAe0It.jpg)
日本時間2024年3月1日朝、インテュイティブ・マシーンズは月面で活動を行うNova-Cについて最新情報を発表しました。着陸地点が夜を迎えるため、Nova-Cは活動を終えます。月面は昼間約110℃、夜間約マイナス170℃という温度差のある厳しい環境です。そのため電子機器を損傷させる可能性もあります。しかしインテュイティブ・マシーンズはNova-Cの電子機器やバッテリーが2週間続く月の夜の寒さに耐えられる可能性を考慮し、着陸地点が昼を迎えたNova-Cと再び交信できるように備えているということです。
関連記事:米民間企業の月着陸船「Nova-C」活動終了へ 夜を越せる可能性に期待(2024年3月4日)
文/出口隼詩 編集/sorae編集部
この記事に関連するニュース
-
世界初の有人月面着陸に成功した「アポロ11号」から今年で55年
sorae.jp / 2024年7月22日 20時29分
-
NASA、月で氷の探査を目指していた「VIPER」ミッションの中止を発表
sorae.jp / 2024年7月19日 11時0分
-
中国と米国の最近の月面着陸スコアは「4対0.5」―イタリア人研究者
Record China / 2024年7月1日 6時30分
-
ispace、「HAKUTO-R」ミッション2 RESILIENCEランダーの熱真空試験を完了
PR TIMES / 2024年6月27日 14時15分
-
ispace-U.S. 、スウェーデン宇宙公社と協力協定を締結2026年打ち上げ予定のミッション3において月面探査の通信用地上局を提供
PR TIMES / 2024年6月25日 12時15分
ランキング
-
1「ハイオクとレギュラー」は何が違う? ハイオクが「高い」のはなぜ? “ハイオク指定車”にレギュラーを入れたらどうなる?
くるまのニュース / 2024年7月22日 21時10分
-
2大人以上に暑い!?子どもの「熱中症」リスクが高い理由…異変に気づくためには?
南海放送NEWS / 2024年7月22日 17時54分
-
3【マック】ナゲットの持ち方で性格診断できるだと?SNS大盛り上がり「お上品ナゲットタイプだった」「確実に神経質ナゲットタイプ」
東京バーゲンマニア / 2024年7月22日 17時16分
-
4終電間際、乗客同士のトラブルで車内は「まさに“地獄絵図”」泥酔サラリーマンが限界突破して…
日刊SPA! / 2024年7月22日 8時54分
-
5「健診でお馴染み」でも、絶対に"放置NG"の数値 自覚症状がなくても「命に直結する」と心得て
東洋経済オンライン / 2024年7月21日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)