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まるで花火のような“カシオペヤ座”の「Pa 30」 NASAのX線宇宙望遠鏡などが観測

sorae.jp / 2024年4月3日 21時36分

こちらは「カシオペヤ座」の方向約1万100光年先にある天体「Pa 30」です。画像はX線・可視光線・赤外線の観測データを着色して作成されているため、人の目で見た姿とは異なります。中心から放射状に広がる構造が花火を思わせるこの天体、一体何だと思いますか?

【▲ アメリカ航空宇宙局(NASA)のX線宇宙望遠鏡「チャンドラ」などで観測された超新星残骸「Pa 30」(Credit: X-ray: (Chandra) NASA/CXC/U. Manitoba/C. Treturik, (XMM-Newton) ESA/C. Treturik; Optical: (Pan-STARRS) NOIRLab/MDM/Dartmouth/R. Fesen; Infrared: (WISE) NASA/JPL/Caltech/; Image Processing: Univ. of Manitoba/Gilles Ferrand and Jayanne English)】【▲ アメリカ航空宇宙局(NASA)のX線宇宙望遠鏡「チャンドラ」などで観測された超新星残骸「Pa 30」(Credit: X-ray: (Chandra) NASA/CXC/U. Manitoba/C. Treturik, (XMM-Newton) ESA/C. Treturik; Optical: (Pan-STARRS) NOIRLab/MDM/Dartmouth/R. Fesen; Infrared: (WISE) NASA/JPL/Caltech/; Image Processing: Univ. of Manitoba/Gilles Ferrand and Jayanne English)】

西暦1181年8月、カシオペヤ座の方向に土星と同じくらい明るい「客星」が出現して、翌1182年の2月まで半年間にわたって輝き続けました。藤原定家の「明月記」をはじめ日本や中国の文献に記録されているこの客星は超新星だったと考えられていて、「SN 1181」と呼ばれています。

実は、Pa 30はSN 1181が残した超新星残骸ではないかと考えられている天体なのです。アメリカ航空宇宙局(NASA)のX線宇宙望遠鏡「Chandra(チャンドラ)」を運用するスミソニアン天体物理観測所のチャンドラX線センター(CXC)は「SNR 1181」として紹介しています(※SNRは英語で超新星残骸を意味するSuperNova Remnantの略)。

超新星残骸は超新星爆発が起こった後に観測される天体で、爆発した星の周囲に広がるガスが衝撃波に加熱されることで可視光線やX線といった電磁波が放射されていると考えられています。CXCによれば、Pa 30の印象的な放射状の構造は加熱されて可視光線で輝く硫黄で構成されています。

研究者がPa 30を分析した結果、この残骸を残したのは「Iax型」に分類される少し特殊な超新星だった可能性が示されました。Iax型は白色矮星が関わるIa型と比べて明るさが弱いとされる超新星です。CXCによると、残骸を残した超新星爆発は2つの白色矮星が合体した時に起こったものの、不完全な爆発だったため、爆発後に巨大な白色矮星が残されました。Pa 30の中心にあるこの星は表面温度が約20万℃という天の川銀河でも最も高温な星の一つとされており、最高速度毎時約1万6000キロメートルの星風が吹いているといいます。

なお、画像の作成にはチャンドラ宇宙望遠鏡(シアン)をはじめ、欧州宇宙機関(ESA)のX線宇宙望遠鏡「XMM-Newton」(青)、ハワイの掃天観測プロジェクト「Pan-STARRS」(白)、米国アリゾナ州のMDM天文台にあるヒルトナー望遠鏡(緑)、NASAの赤外線天文衛星「WISE」(赤とピンク)の観測データが用いられました(※カッコ内の色名は各データの着色に用いられた色)。

冒頭の画像はCXCから2024年3月27日付で公開されています。

 

Source

CXC - SNR 1181: Stunning Echo of 800-year-old Explosion

文/sorae編集部

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