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日本人宇宙飛行士に2回の月面着陸機会 「アルテミス計画」与圧ローバー巡り日米間で署名

sorae.jp / 2024年4月15日 11時4分

文部科学省の盛山正仁文部科学大臣とアメリカ航空宇宙局(NASA)のBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は日本時間2024年4月10日、NASAが推進する月探査計画「Artemis(アルテミス)」における「与圧ローバによる月面探査の実施取決め」に署名しました。この取り決めにより、日本には日本人宇宙飛行士による月面着陸の機会が2回提供されることになります。【最終更新:2024年4月12日10時台】

【▲ アルテミス計画における「与圧ローバによる月面探査の実施取決め」に署名したアメリカ航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官(左)と文部科学省の盛山正仁文部科学大臣(右)。NASA本部にてアメリカの現地時間2024年4月9日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】【▲ アルテミス計画における「与圧ローバによる月面探査の実施取決め」に署名したアメリカ航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官(左)と文部科学省の盛山正仁文部科学大臣(右)。NASA本部にてアメリカの現地時間2024年4月9日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

NASAのアルテミス計画は月面での持続的な探査活動や将来の有人火星探査を見据えた取り組みです。アメリカにとって1960~70年代に実施された「アポロ計画」以来となる有人月面探査が実施される予定で、月の南極の永久影に埋蔵されているとみられる氷(水の氷)の探査などが行われます。

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2022年11月~12月にはNASAの新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人飛行試験にあたる「Artemis I(アルテミス1)」ミッションが実施され、成功裏に終了しました。2025年9月にはアルテミス計画初の有人ミッション「Artemis II(アルテミス2)」の実施が予定されています。アルテミス2はオリオン宇宙船の有人飛行試験にあたり、4名の宇宙飛行士が月周辺を飛行した後に地球へ帰還します。

同計画の有人月面探査は2026年に予定されている「Artemis III(アルテミス3)」から開始される予定で、2名の宇宙飛行士が月着陸船「Starship HLS(スターシップHLS)」に搭乗して月の南極へ降り立ちます。その次の「Artemis IV(アルテミス4)」からは月周回軌道に建設される宇宙ステーション「Gateway(ゲートウェイ)」を拠点とした有人探査も始まる予定です。

【▲ アルテミス計画で日本が提供する予定の与圧ローバーのモデル。宇宙航空研究開発機構(JAXA)ワシントン駐在員事務所にてアメリカの現地時間2024年4月10日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】【▲ アルテミス計画で日本が提供する予定の与圧ローバーのモデル。宇宙航空研究開発機構(JAXA)ワシントン駐在員事務所にてアメリカの現地時間2024年4月10日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

今回日米間で署名されたのは、アルテミス計画において日本が提供する与圧ローバー(有人月面探査車)による月面探査に関する日本と米国の協力事項の詳細を規定した取り決めです。NASAによると、日本の与圧ローバーは2031年に予定されている「Artemis VII(アルテミス7)」ミッションから10年間運用することが計画されています。

前述の通り、日本はこの取り決めによって日本人宇宙飛行士による月面着陸の機会を2回得ることになりました。日本人宇宙飛行士がいつ、どのミッションにクルーとして参加するのかといった具体的なことはまだ決まっていないと思われますが、与圧ローバーが最初に運用されるアルテミス7のクルーに含まれる可能性もあります。

【▲ 左から:宇宙航空研究開発機構(JAXA)の星出彰彦宇宙飛行士、盛山正仁文部科学大臣、JAXAの山川宏理事長、アメリカ航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官、NASAのケイラ・バロン宇宙飛行士。JAXAのワシントン駐在員事務所にてアメリカの現地時間2024年4月10日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】【▲ 左から:宇宙航空研究開発機構(JAXA)の星出彰彦宇宙飛行士、盛山正仁文部科学大臣、JAXAの山川宏理事長、アメリカ航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官、NASAのケイラ・バロン宇宙飛行士。JAXAのワシントン駐在員事務所にてアメリカの現地時間2024年4月10日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

アルテミス計画の有人月面探査車については先日も「Lunar Terrain Vehicle(LTV)」を開発する企業として米国の3社が選定されていますが、LTVは与圧式キャビンを持たない非与圧式のローバーとなるため、宇宙飛行士は月面活動用の宇宙服を着た状態で搭乗することになります。

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一方、日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車が与圧式のキャビンを備えたローバー、愛称「LUNAR CRUISER(ルナクルーザー)」の開発を進めています。4畳半ほどの与圧式キャビンを備えるルナクルーザーは言ってみれば“走る月面基地”あるいは“月面のキャンピングカー”として機能するもので、月面を移動しながら探査するための研究設備としての機能だけでなく、2名の宇宙飛行士の生活を最大30日間にわたって支える居住設備としての機能も与えられます。また、アルテミス計画の有人ミッションは1年に1回のペースで実施されるため人を乗せない期間も生じますが、ルナクルーザーは無人での運用も可能になる予定だということです。

 

Source

文部科学省 – 国際宇宙探査(与圧ローバによる月面探査の実施取決めの署名について) NASA – NASA, Japan Advance Space Cooperation, Sign Agreement for Lunar Rover トヨタ自動車 – トヨタイムズ

文・編集/sorae編集部

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