スペースX、QPS研究所の衛星などを搭載したライドシェアミッションに成功
sorae.jp / 2024年4月16日 17時15分
スペースXは日本時間2024年4月8日、同社の「ファルコン9」ロケットによるライドシェアミッション「Bandwagon-1」を実施しました。Bandwagonは中傾斜軌道へ超小型衛星を投入することを目的としており、日本の民間宇宙企業の衛星を含む11機の衛星が搭載されました。【最終更新:2024年4月16日15時台】
![【▲ フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられるファルコン9(Credit: SpaceX)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/04/2024-04-16_spacex01.jpeg)
「Bandwagon」はスペースXが新たに開始したライドシェアミッションで、軌道傾斜角45度・高度550〜605kmの中傾斜軌道への小型衛星投入を目的としています。同社が2021年から実施しているライドシェアミッション「Transporter」は太陽同期軌道(SSO)への小型衛星投入を目的としており、今回初めて実施されたBandwagonとは衛星を投入する軌道が異なります。
![【▲ 基地内の着陸エリアへ帰還するファルコン9の第1段機体(Credit: SpaceX)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/04/2024-04-16_spacex02.jpeg)
11機の衛星を搭載したBandwagon-1ミッションのファルコン9は、日本時間2024年4月8日8時16分(米国東部夏時間2024年4月7日19時16分)に米国フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられました。なお、ファルコン9の第1段機体は今回が14回目の使用で、発射約8分後に基地内の着陸エリアへ帰還することに成功しました。
■Bandwagon-1のペイロードBandwagon-1では、前述の通り11機の衛星がファルコン9に搭載されました。このうち1機は日本の民間宇宙企業QPS研究所の小型SAR衛星「QPS-SAR7号機」、愛称「ツクヨミ-II(ツクヨミ・ツー)」です。QPS研究所によると、軌道投入から約1時間後にツクヨミ-IIとの初交信に成功し、その後に衛星の収納型アンテナを展開することにも成功しました。
QPS研究所は合成開口レーダー(SAR)を搭載した衛星によるコンステレーションの運用を目指している企業です。同社によると、全36機からなる衛星コンステレーションを構築することで、地球上の任意の地点を平均10分間隔という「ほぼリアルタイム」で観測することが可能とされています。
QPS-SARは衛星の投入軌道ごとに愛称がつけられています。中傾斜軌道に投入される衛星は日本神話の月読命(つくよみのみこと)にちなんで「ツクヨミ(TSUKUYOMI)」と命名されていて、2023年12月にはQPS-SAR5号機「ツクヨミ-I」が打ち上げられました。なお、太陽同期軌道に投入される衛星は日本神話に登場する天照大御神(あまてらすおおみかみ)にちなんで「アマテル(AMATERU)」と命名されていて、これまでに3機が打ち上げられています。
![【▲ アンテナ展開前後のQPS-SAR7号機(ツクヨミ-II)の様子(Credit: QPS研究所)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/04/2024-04-16_spacex03.jpg)
他のペイロードの一つは、韓国国防部の軍事偵察衛星2号機「425Sat」です。韓国国防部によると、衛星は発射45分後にファルコン9から分離された後、日本時間同日10時57分に地上局との交信に成功し、所定の軌道に投入されたことが確認されたということです。425Satは合成開口レーダー(SAR)を搭載しており、昼夜・天候に左右されず地上の観測が可能とされています。
また、米国の地球観測ベンチャー企業HawkEye 360の商用電波観測衛星「Clusters 8」と「Clusters 9」も軌道に投入されました。HawkEyeは商用電波観測衛星を用いて地理空間情報の提供を行う米国企業です。HawkEye 360によると、同社初の2機同時打ち上げとなったClusters 8とClusters 9は衛星のデータ収集能力が5倍に増加しているということです。
この他にも、Bandwagon-1では米国民間宇宙企業Capella SpaceのSAR衛星「Acadia-4」、オーストラリアの民間宇宙企業Fleet Space Technologiesの衛星「CENTAURI-6」、インドの民間宇宙企業Tata Advanced System Limitedの光学地球観測衛星「TSAT-1A」が搭載されました。
関連記事
・スペースX、日本の民間宇宙企業の小型衛星を含むライドシェアミッションの打ち上げを実施(2024年4月8日)
・QPS研究所、小型SAR衛星をスペースXのライドシェアミッションで打ち上げへ(2024年3月27日)
Source
SpaceX – Bandwagon-1 mission SpaceNews – SpaceX launches first mid-inclination dedicated rideshare mission QPS研究所 – 2024年4月8日(日本時間)にQPS-SAR 7号機「ツクヨミ-II」が打上げられ、初交信に成功しました QPS研究所 – QPS-SAR 7号機「ツクヨミ-Ⅱ」のアンテナ展開成功のお知らせ 韓国国防部 – 우리 군 정찰위성 2호기 발사 성공, 군 최초 SAR 위성 확보로 전천후 대북 감시역량 강화 韓国国防部 – 날다! 촘촘하고 선명해진 대북 ‘감시의 눈’ HawkEye 360 – HAWKEYE 360 ACHIEVES SUCCESSFUL ORBIT DEPLOYMENT OF CLUSTERS 8 & 9 Fleet Space Technologies – Fleet Space Launches Next-Gen Centauri-6 Satellite on SpaceX’s Bandwagon-1 Mission Tata Advanced System Limited – Tata Advanced Systems Limited and Satellogic Announce TSAT-1A Satellite Launch Success Capella Space – Capella Space to Launch Two Acadia Satellites with SpaceX文/出口隼詩 編集/sorae編集部
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