JAXA月探査機「SLIM」前回に続き5回目の越夜後も通信に応答なし
sorae.jp / 2024年6月28日 9時4分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年6月27日(日本時間・以下同様)、X(旧Twitter)の小型月着陸実証機「SLIM」プロジェクト公式アカウントにて、5回目の夜を越したとみられるSLIMとの通信を試みたものの、電波は確認できなかったことを明らかにしました。【最終更新:2024年6月27日17時台】
【▲ 参考画像:小型月着陸実証機「SLIM」から放出された探査ロボット「LEV-2(SORA-Q)」のカメラで撮影された画像。大きく傾きつつ接地した状態のSLIMが右奥に写っている。画像は試験画像で、もう1機の探査ロボット「LEV-1」経由の試験電波データ転送により取得されたもの(Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)】SLIMは2024年1月20日0時20分頃に日本の探査機として初めて月面へ軟着陸することに成功しました。ただ、2基搭載されているメインエンジンの1基で着陸直前に生じたトラブルによって想定外の速度や姿勢で接地することになったため、機体は太陽電池を西に向けて逆立ちしたような姿勢で安定しています。
着陸直後に電力を得られなかったSLIMは一旦休眠状態に置かれましたが、太陽光が西から当たって太陽電池から電力を得られるようになった2024年1月28日以降は「マルチバンド分光カメラ(MBC)」による岩の観測が行われ、着陸地点が夜を迎えることから1月31日に再び休眠状態に入りました。MBCは月のマントルに由来するかんらん石(橄欖石)を含んだ岩の分光観測(電磁波の波長ごとの強さであるスペクトルを得るための観測)を目的としてSLIMに搭載された観測装置で、実際にかんらん石を示すデータが得られていたことが明らかになっています。
【▲ 参考画像:SLIMのマルチバンド分光カメラ(MBC)で電力回復後に取得された月面スキャン画像(モザイク合成)。観測候補の岩石に付けられた愛称が示されている。2024年2月1日公開(Credit: JAXA、立命館大学、会津大学)】その後、SLIMは2024年2月25日に1回目の越夜(夜を越すこと)に成功し(3月1日未明から休眠)、3月27日には2回目の越夜に成功(3月30日未明から休眠)、4月23日には3回目の越夜に成功(4月29日未明から休眠)したことがそれぞれ確認されています。しかし、4回目の越夜を終えて電力が回復したと想定される2024年5月24日夜から27日夜にかけての運用ではコマンドの送信に対してSLIMからの応答はなく、5月の運用はそのまま終了していました。
SLIMプロジェクトによると、5回目の越夜を終えてSLIMに十分な電力が発生していると想定される2024年6月21日夜から27日夜にかけて再度通信を試みたものの、SLIMからの電波は確認されませんでした。同プロジェクトは今後SLIMと通信できる可能性は低いと考えていることと、発表の時点で今後の予定は未定であることを述べています。
【▲ 参考画像:3回目の越夜成功後にSLIMの航法カメラで撮影された月面の様子(非圧縮データ)。JAXAのSLIMプロジェクト公式Xアカウントが2024年4月26日に公開(Credit: JAXA)】なお、SLIMはもともと越夜を想定して設計されてはおらず、目標としていたデータは最初の夜を迎える前にすべて取得することができたとされており、得られた知見や観測データの解析を急ピッチで進めているということです。SLIMについては新しい情報が発表され次第お伝えします。
関連記事
・JAXA月探査機「SLIM」の記事一覧
Source
小型月着陸実証機SLIM (X)文・編集/sorae編集部
この記事に関連するニュース
-
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
NEWSポストセブン / 2024年11月23日 7時15分
-
火星の衛星は崩壊した小惑星の破片から形成された? 新たな研究が示唆
sorae.jp / 2024年11月22日 21時7分
-
2024年11月16日は藤原道長の詠んだ『望月の歌』とほぼ同じ月
sorae.jp / 2024年11月10日 20時57分
-
METoA GinzaにてSLIMの世界初高精度月着陸を疑似体験できる展示 「“月”から見る月面着陸VR体験」
共同通信PRワイヤー / 2024年11月7日 11時0分
-
【NASA発表】月面着陸、意外すぎる9つの候補地 「アルテミス計画」日本人宇宙飛行士2人も月へ
東洋経済オンライン / 2024年11月3日 13時0分
ランキング
-
1とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
2紅白「旧ジャニ出演なし」に騒ぐ人の"大きな誤解" 出演しない理由についての報道の多くがピント外れ
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 13時30分
-
3「洗濯離婚」や「エアコン離婚」が起きる納得の理由 熟年離婚の引き金となるのは「ささいなこと」
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 16時0分
-
4ファミマの「発熱・保温インナー」はヒートテックより優秀? コンビニマニアが比較してみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 19時55分
-
5カップヌードル、約1割が“アレ”を入れて食べがちと判明 ギャル曽根も「すごい好き」
Sirabee / 2024年11月19日 4時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください