日欧共同の地球観測衛星「EarthCARE」雲プロファイリングレーダーの初観測画像が公開
sorae.jp / 2024年7月1日 8時34分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)は2024年6月27日付で、1か月ほど前に打ち上げられた雲エアロゾル放射ミッションの地球観測衛星「EarthCARE」に搭載されている「雲プロファイリングレーダー(CPR)」の初観測で取得した画像を公開しました。【最終更新:2024年6月28日10時台】
![【▲ 地球観測衛星「EarthCARE(はくりゅう)」の想像図(Credit: ESA/ATG medialab)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/05/ESA-JAXA-EarthCARE_to_understand_how_clouds_and_aerosols_affect_Earth_s_radiation_balance-1.jpg)
日本時間2024年5月29日に打ち上げられたEarthCAREは、ESAとJAXAが共同で開発し、運用する地球観測衛星です。日本での愛称は「はくりゅう(白龍)」です(※外観が白く、展開された太陽電池パドルが長い尾を連想させることから)。ミッションの目的は、気候変動予測の精度向上に貢献するための雲とエアロゾルの全地球的な観測を行うこと。観測機器は4つ搭載されており、そのうちの1つであるCPRはJAXAと情報通信研究機構(NICT)が共同で開発し、日本電気(NEC)が設計・製造を担当しました。
![【▲ 地球観測衛星「EarthCARE」の雲プロファイリングレーダー(CPR)を使って取得されたレーダー反射強度(左)とドップラー速度(右)のデータを3次元的に表現した図。日本時間2024年6月13日13時36分頃に日本の東海上にあった梅雨前線上の雲を捉えたもの(Credit:JAXA/NICT/ESA)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/06/ESA-JAXA-CPR-EarthCARE_cloud_profiling_radar_first_image.jpg)
こちらが今回公開された画像の1つです。日本時間2024年6月13日13時36分頃に日本の東海上にあった梅雨前線上の雲をCPRで捉えたもので、左は雲粒の垂直方向の濃度を示すレーダーの反射強度、右は雲粒の上下の動きを示すドップラー速度をそれぞれ示しており、気象衛星「ひまわり9号」の観測データを利用して3次元的に表現されています。JAXAによると、宇宙から雲の上下の動きを梅雨前線上の雲域で測定したのは世界初とされています。
次に示すのは「ひまわり9号」で撮影された観測当日の雲画像および実況天気図、それにCPRの観測で得られたレーダー反射強度とドップラー速度のデータを示した図です。雲画像と実況天気図に書き込まれた赤色の線はEarthCAREの通過軌道を示しており、CPRのデータは点Aから点Bの範囲を観測して得たものとなります。
![【▲ 地球観測衛星「EarthCARE」の雲プロファイリングレーダー(CPR)が行われた日本時間2024年6月13日に気象衛星「ひまわり9号」で撮影された雲画像(左)と同日12時の実況天気図(右)。赤色の線はEarthCAREの通過軌道、点Aと点Bは観測範囲を示す(Credit:JAXA/気象庁)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/06/ESA-JAXA-CPR-EarthCARE20240627-1_04.jpg)
![【▲ 地球観測衛星「EarthCARE」の雲プロファイリングレーダー(CPR)を使って取得されたレーダー反射強度の高さ分布を示した図。日本時間2024年6月13日13時36分頃に日本の東海上にあった梅雨前線上の雲を捉えたもの(Credit:JAXA/NICT/ESA)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/06/ESA-JAXA-CPR-EarthCARECloud_particles_measured_by_EarthCARE.jpg)
![【▲ 地球観測衛星「EarthCARE」の雲プロファイリングレーダー(CPR)を使って取得されたドップラー速度の高さ分布を示した図。日本時間2024年6月13日13時36分頃に日本の東海上にあった梅雨前線上の雲を捉えたもの(Credit:JAXA/NICT/ESA)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2024/06/ESA-JAXA-CPR-EarthCARECloud_particle_vertical_velocity.jpg)
CPRが観測した範囲の南側(図の左側)約300kmでは発達した雲構造が上空約13kmに達しており、そこから上層雲が北側(図の右側)へ向かって広がっている様子が捉えられています。また、ドップラー速度のデータを見ると、高度約5kmを境に上の高さでは上下の動きがほとんどみられない(緑色)一方で、下の高さではドップラー速度が下向きに高くなっている(青色)こともわかります。気象庁の予報モデルで算出された気温0℃の高さが約5kmであることから、下向きに高いドップラー速度の特徴は雨滴の落下速度を示していると考えられています。なお、発表の時点でCPRは初期機能の確認中であり、観測値が校正されていないことから、観測値の指標には数値が入れられていません。
今後、JAXAはCPRの観測データを用いた研究を大学や研究機関と共同で進めることで、雲が気候変動に影響する仕組みを解明し、気象予測や気候予測の精度向上に貢献することを目指すということです。
Source
JAXA – 雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(はくりゅう)搭載 雲プロファイリングレーダ(CPR)の初観測画像を公開 ESA – A first: EarthCARE reveals inner secrets of clouds文・編集/sorae編集部
この記事に関連するニュース
-
衛星「はくりゅう」、軌道上から雲の上下動のドップラー計測に成功
マイナビニュース / 2024年6月28日 19時50分
-
宇宙から雲内部の動きを初観測 JAXA、衛星アースケア
共同通信 / 2024年6月28日 8時54分
-
地球観測衛星「アースケア」、梅雨前線の雲内部の動きを捉えた画像…JAXAが初公開
読売新聞 / 2024年6月27日 17時48分
-
「金星」の火山が1990年代に噴火した新たな証拠を発見! 確認されれば太陽系3例目の天体に
sorae.jp / 2024年6月8日 18時15分
-
ESAとJAXAの地球観測衛星「EarthCARE」打ち上げ成功 気候変動の予測精度向上へ
sorae.jp / 2024年6月5日 10時45分
ランキング
-
1すき家、7月から“大人気商品”の復活が話題に 「この時期が来たか」「年中食いたい」
Sirabee / 2024年6月29日 4時0分
-
2湿気が多いこれからの季節に役立ちそう…警視庁が紹介する「跡が残らないヘアゴムの結び方」
まいどなニュース / 2024年6月30日 20時30分
-
3冷ややっこの「やっこ」の意味ってなに? その由来は江戸時代の大名行列にあった!
週刊女性PRIME / 2024年7月1日 6時0分
-
4トヨタ次期「セリカ」に期待! 「まもなく登場?」 8代目「次期型」20年弱ぶりに復活!? みんなの声は
くるまのニュース / 2024年7月1日 7時10分
-
5パンと白米よりやっかい…糖尿病専門医が絶対に飲まない"一見ヘルシーに見えて怖い飲み物"の名前
プレジデントオンライン / 2024年7月1日 9時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)