インドが同国初の金星探査ミッションと4回目の月探査ミッションを承認
sorae.jp / 2024年10月6日 10時32分
インド宇宙研究機関(ISRO)は2024年9月30日付で、金星探査ミッション「Venus Orbiter Mission(VOM)」と月探査ミッション「Chandrayaan-4(チャンドラヤーン4号)」がインド政府に承認されたことを発表しました。
ISROの金星探査ミッション「Venus Orbiter Misson(VOM)」 【▲ インド宇宙研究機関(ISRO)の金星探査ミッション「Venus Orbiter Misson(VOM)」の探査機の構成図(Credit: ISRO)】VOMは金星の大気と表面の詳しい調査や太陽との相互作用の解明を目的としたインド初の金星探査ミッションで、金星大気中の塵の調査、大気光の分析、表面地形の高解像度マッピング、金星付近での太陽からのX線のスペクトル調査などが予定されています。また、大気を利用して宇宙機を減速させるエアロブレーキや熱管理技術といったISROの新技術の実証も行われます。
発表時点では探査機は2028年3月に「LVM3」ロケットで打ち上げられ、2028年7月に金星を周回する軌道へ入る予定です。探査機は高度500km×6万kmの楕円軌道に投入された後、6~8か月かけてエアロブレーキを行い軌道を修正し、高度200km×600km・軌道傾斜角90度の軌道で5年間観測を行う予定です。探査機に搭載される科学機器としてインド国内外の合計19基が推奨されています。
ISROの月探査ミッション「Chandrayaan-4」 【▲ インド宇宙研究機関(ISRO)の月探査ミッション「Chandrayaan-4」の上昇モジュール(AM)と降下モジュール(DM)が組み合わさった機体の構成図(Credit: ISRO)】 【▲ インド宇宙研究機関(ISRO)の月探査ミッション「Chandrayaan-4」の帰還モジュール(RM)とトランスファーモジュール(TM)および推進モジュール(PM)が組み合わさった機体の構成図(Credit: ISRO)】一方のChandrayaan-4は、インドにとって4回目の月探査ミッションです。2023年8月に月の南極域への軟着陸に成功した「Chandrayaan-3(チャンドラヤーン3号)」に続くこのミッションでは、月面で採取したサンプルを地球へ持ち帰るサンプルリターンを主な目的としています。2024年10月の時点で、月からのサンプルリターンに成功した国はアメリカ・旧ソ連・中国の3か国のみです。
サンプルリターンを目指していることもあり、Chandrayaan-4の探査機とその運用は少し複雑です。探査機は5つのモジュールに分かれていて、「上昇モジュール(Ascender Module: AM)」と「降下モジュール(Descender Module: DM)」が一体になった機体と、「再突入モジュール(Re-entry Module: RM)」と「トランスファーモジュール(Transfer Module: TM)」および「推進モジュール(Propulsion Module: PM)」が一体になった機体を別々の「LVM3」ロケットで打ち上げた上で、地球周回軌道上でドッキングさせてから月へ向かわせる方法が採用されています。
探査機の月遷移軌道への投入には推進モジュール(PM)が使用され、推進剤が尽きた時点でPMは投棄されます。月周回軌道に入ってからは上昇モジュール(AM)を搭載した降下モジュール(DM)が分離して月面に着陸し、DMのロボットアームや掘削装置を使って着陸地点周辺の表面や地下から2~3kgのサンプルを採取。サンプルが積み込まれたAMはDMを残して月面から上昇し、軌道上で待機していたトランスファーモジュール(TM)とドッキングします。サンプルを再突入モジュール(RM)に移し替えたTMは、AMを分離してから月周回軌道を離脱し地球へ。サンプルを収めたRMがTMから分離されて大気圏に再突入し、地球に帰還する予定です。なお、今回の発表ではChandrayaan-4の実施時期については言及されていません。【最終更新:2024年10月3日14時台】
Source
ISRO - Union Cabinet Approves India’s Mission to Venus, and Sample Return from the Moon文・編集/sorae編集部
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