ULA、新型ロケット「ヴァルカン」2号機で起きたSRBの異常の原因を調査中
sorae.jp / 2024年10月16日 17時13分
United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)が日本時間2024年10月4日に実施した「Vulcan(ヴァルカン、バルカン)」ロケット2号機の打ち上げでは、2基取り付けられていた固体燃料ロケットブースター(SRB)の片方でノズルが脱落する異常が発生しました。打ち上げから2週間近く、異常の原因について調査が進められていることを海外メディアのSpaceNewsが報じています。
VulcanロケットとはULAが開発した新型のVulcanロケットは、1段目にBlue Origin(ブルー・オリジン)が開発した「BE-4」エンジンを2基、2段目「Centaur(セントール)」に1960年代から改良を重ねつつ使用されている「RL-10」エンジンを2基搭載しており、ペイロード(搭載物)に応じて1段目の側面にNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)のSRB「GEM 63XL」が2基~6基取り付けられます。
Vulcan初号機は2024年1月8日に打ち上げられ、アメリカの民間企業Astrobotic(アストロボティック)の月着陸船「Peregrine(ペレグリン)」を月へ向かう軌道へ投入することなどに成功しました。
関連記事
・ULA、新型ロケット「ヴァルカン」初号機打ち上げ 月着陸船ペレグリンの分離に成功(2024年1月8日)
2024年10月4日に打ち上げが実施されたのはVulcan 2号機による「Certification-2(Cert-2)」と呼ばれるミッションで、ペイロードの質量を模したダミーが搭載されていました。
関連記事
・ULA、新型ロケット「ヴァルカン」2号機の打ち上げを実施(2024年10月4日)
ULAが行ったライブ配信の映像では、2基取り付けられていたもののうち画面手前側のSRB付近から発射38秒後頃に何かが飛び散るような様子が確認できます。その後も左右のSRBの燃焼ガスの広がり方が異なっていたり、1段目エンジンの燃焼終了が予定よりも遅れたりするなど、何らかの事象が発生した様子が伺えました。
【▲ 「Vulcan」ロケット2号機の打ち上げライブ配信のアーカイブ(発射30秒前から)】
(Credit: United Launch Alliance)
打ち上げ後、ULAはVulcan 2号機の打ち上げについて成功したと発表。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)社長兼CEOも、SRBの1つで異常が認められたものの、軌道投入の精度が高かったことに言及していました。
SpaceNewsによると、イタリアのミラノで2024年10月14日~18日の日程で開催された国際宇宙会議(IAC)で講演したBruno氏は、ノズルの脱落がSRBそのものやVulcanの機体全体を危険にさらすことはなかったと言及。ノズルの脱落による影響はSRBのトータルインパルスの2%未満に留まり、期待通りの推力が得られなかっただけであることや、エンジニアがデータを分析している段階ではあるものの、これまでで最も正確な軌道投入だったことなどを述べたと伝えられています。
【▲ 発射38秒後頃の「Vulcan」ロケット2号機。手前側のSRB付近から何かが飛び散ったような様子が捉えられている。ULAのライブ配信から(Credit: United Launch Alliance)】 ノズル脱落の原因は調査中一方で、Bruno氏はSRBのノズルが脱落した原因は調査中であることにも触れています。ULAが運用していた「Atlas(アトラス)V」ロケットでSRBとして使用された「GEM 63」の35回の噴射や、より大型になったGEM 63XLのこれまでの噴射では同様の事象は起きていないといいます。ノズルはボルトで取り付けられているため、今後のVulcan打ち上げ用に保管されている35基のGEM 63XLについては容易に交換できるだろうとBruno氏は述べています。
なお、ULAによると、Cert-2はVulcanがアメリカ宇宙軍の認証を受ける上で必要となる2回のテスト飛行のうち2回目でした。SpaceNewsは、ULAが2024年内に宇宙軍の最初の2回の打ち上げを行えるように間に合わせたいと考えていたVulcanの認証について、Cert-2で起きたSRBの異常がどのように影響するのかは不確かだと伝えています。
Source
SpaceNews - Vulcan SRB anomaly still under investigation ULA - United Launch Alliance Successfully Launches Second Vulcan Certification Flight ULA - Vulcan文・編集/sorae編集部
#ULA #バルカン #ヴァルカン
Last Updated on 2024/10/16
この記事に関連するニュース
-
カイロス2号機現地取材 - 宇宙に到達も軌道には届かず、正念場の2機連続失敗
マイナビニュース / 2024年12月19日 14時30分
-
カイロスロケット2号機、異常は1段目ノズルの駆動制御で発生 現在は海中に
ITmedia NEWS / 2024年12月18日 16時3分
-
【更新・追記】スペースワン、「カイロス」ロケット2号機を打ち上げ 発射後に飛行中断措置
sorae.jp / 2024年12月18日 12時26分
-
日本の宇宙開発にとって2024年は「実り多き一年」 イプシロンSロケット燃焼実験失敗とロケット開発の行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月16日 12時0分
-
H3ロケット5号機でみちびき6号機を'25年2月打上げへ。「SRB-3には懸念なし」
マイナビニュース / 2024年12月11日 17時50分
ランキング
-
1めちゃ遅い…「ノロノロ運転」は違反? 「10キロおじさん」が過去に話題! 知らないうちに「逆あおり運転」となる条件とは?
くるまのニュース / 2025年1月2日 17時10分
-
2電気・ガスなし築73年「廃団地」が満室の不思議 廃団地を90万円で購入して貸し出したら…
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 8時0分
-
32025年「値上がりしそうな中古車」何がある? 「インプ/ランエボ」もヤバい!? 米国「25年ルール」解禁で国産の“名モデル”海外流出の危機! 今買っておくべき5台は
くるまのニュース / 2025年1月2日 19時10分
-
4ホンダ「プレリュード」復活にかかる3つの期待 電動化時代へのキープレイヤーになる可能性
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 8時0分
-
5ダイハツの「斬新軽トラ」が凄かった! 超“カクカク”デザイン×「シンプル内装」がイイ! 「画期的荷台」で栽培もできる「Uniform」は“未来の商用車”の姿なのか
くるまのニュース / 2024年12月30日 6時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください