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公転周期わずか約21時間のホット・ネプチューン「TOI-3261 b」を発見

sorae.jp / 2024年12月1日 10時50分

こちらは「みずへび座(水蛇座)」の方向約979光年先の太陽系外惑星「TOI-3261 b」の想像図です。2024年に発見が報告されたばかりのTOI-3261 bは、太陽よりも少し小さなK型星「TOI-3261」を公転しています。

太陽系外惑星「TOI-3261 b」の想像図【▲ 太陽系外惑星「TOI-3261 b」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/K. Miller (Caltech/IPAC))】 とても希少な超短周期のホット・ネプチューン

TOI-3261 bの直径は海王星とほぼ同じ、地球の約3.82倍。ただし質量は地球の約30.3倍で、海王星の約1.7倍です。TOI-3261 bはアメリカ航空宇宙局(NASA)の系外惑星探査衛星「TESS」の観測で発見された後、地上の望遠鏡による追加観測を通じてその性質が確認されました。

注目されているのは主星からの距離で、約0.017天文単位しか離れていません。これは太陽から水星までの平均距離(約0.39天文単位)の約4.4%に相当する近さであり、TOI-3261 bの公転周期(つまり“1年”)は約21時間という短さ。推定される表面温度は1722ケルビン(約1450℃)で、想像図でも表現されているように大気が失われ続けているとみられています。

公転周期が地球の1日を下回るような太陽系外惑星は超短周期惑星(Ultra-short-period Planet)と呼ばれています。そのなかでも、質量が海王星に近くて表面が高温に加熱された惑星、いわゆるホット・ネプチューン(Hot Neptune)に分類されるものはわずかしか見つかっておらず、NASAによれば質量が正確に測定されたものとしてはTOI-3261 bが4例目です。これまでに5800個近くが確認されている太陽系外惑星のなかでも超短周期のホット・ネプチューンは発見例が少ないことから、その希少性は「ホット・ネプチューン砂漠(hot Neptune desert)」という言葉で表現されています。

ちなみに、このタイプの惑星のひとつである「ちょうこくしつ座(彫刻室座)」の方向約264光年先の「LTT 9779 b」は、岩石の雲で鏡のように輝いていると考えられています。LTT 9779 bの公転周期はTOI-3261 bよりも短く、約19時間しかありません。

太陽系外惑星「LTT 9779 b」は岩石の雲で鏡のように輝いていると判明(2023年7月26日)

TOI-3261 bの発見を報告したサザンクイーンズランド大学のEmma Nabbieさんを筆頭とする研究チームは、TOI-3261とその惑星系が誕生したのは約65億年前であり、誕生当時のTOI-3261 bは今よりもずっと巨大なガス惑星だったと結論付けています。その後、主星の放射による光蒸発か、主星の重力がもたらす潮汐力によって大気が失われていき、現在のような姿になったとみられています。

今後、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」による観測でTOI-3261 bの大気の成分を調べることができれば、TOI-3261 bの過去だけでなく、高温の巨大惑星全般の背後に潜む物理的プロセスを明らかにする上で役立つと期待されています。

 

Source

NASA - Discovery Alert: a ‘Hot Neptune’ in a Tight Orbit Nabbie et al. - Surviving in the Hot-Neptune Desert: The Discovery of the Ultrahot Neptune TOI-3261b (The Astronomical Journal)

文・編集/sorae編集部

#太陽系外惑星 #ホットネプチューン

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