JALの次世代機「エアバスA350-1000」日本初公開、写真多数で紹介
sorae.jp / 2018年2月14日 20時4分
日本航空(JAL)が導入を予定している、エアバス社製の最新型ジェット旅客機「A350XWB-1000」が初めて日本に飛来し、羽田空港で報道公開された。
日本航空がエアバス機を導入するのは、前身のひとつである日本エアシステム(導入当時は東亜国内航空)がA300型を導入して以来。A300シリーズ最後の納入は合併後の2002年で、2011年には全機が退役している。2019年にA350XWBが納入されればエアバス機の運航は8年ぶり、新造機の導入は実に17年ぶりとなる。
2019年に導入されるのはA350XWBの基本型、A350XWB-900と呼ばれるタイプで、すでに2015年からカタール航空で運航されている。今回飛来したのは胴体を延長したA350XWB-1000で、エアバス社所有の試験機が最終段階のテスト飛行を兼ねてアジア太平洋ツアーを実施した。
777と交代、JALの主力大型機に
A350XWB-900はボーイング社製の787-10や777-200に相当する大きさで、3クラスの標準的な座席レイアウトで325人乗り。同じく-1000は777-300に相当し、366人乗り。このため日本航空では現在主力大型機として保有している777をA350XWBで置き換える計画だ。日本航空の777の保有機数は合計40機で、A350XWBの発注機数は-900が18機、-1000が13機、オプション(未確定の予約)25機の合計56機。すべて納入されれば777を置き換えて余りある機数となる。特に-1000は長距離国際線用の主力機材となることが期待されている。
A350XWBの機体を見てみよう。胴体と主翼の大半は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製で、開発が先行したボーイング787と同様だ。A350XWBのライバルである777も新しいCFRP製の主翼を開発中だが胴体は従来と同じアルミ合金製のため、エアバス社では「全く新しく開発したA350XWBの方が優れている」と説明している。
A350XWBの外見は見慣れた双発ジェット旅客機という感じで、飛行機に詳しくない人が見れば何が新しいのかわからないだろう。そんな中で際立った特徴は、3次元的に丸く反った主翼端だ。空気の流れだけでなく、飛行中の変形で空気抵抗を最小にする「生物を模倣した翼」とエアバス社は説明した。
A350XWBのエンジンはロールス・ロイス社製のトレントXWBで、他のエンジンの選択肢はない。日本航空がロールス・ロイス製ジェットエンジンを導入するのは初めてのため、既に日本航空の整備士がロールス・ロイスの工場で研修を受けているという。従来のエンジンより騒音が少なく、機内騒音はもちろん地上への騒音も小さいため、「(市街地に近い)日本の空港に最適」と胸を張る。
エアバス流、サイドスティックで広々コックピット
コックピットはエアバス製航空機に共通するサイドスティック操縦桿(パイロットの横の窓際にあり、片手で操縦する)で、パイロットの正面は広々としている。横に5面並んだ大型液晶画面はタッチパネル式だ。
機内はビジネスクラスとエコノミークラスの座席が並べられているが、航空会社に乗り心地を試してもらうため、座席の種類や間隔は数種類あるという。エコノミークラスは横9列が標準だが10列の設定も可能で、日本航空の仕様は未発表。ただ、A350XWBより胴体がやや細い787は横8列、やや太い777は横10列なので、筆者個人としては標準通りの9列を期待したいところだ。
床から邪魔もの一掃、スペシャルな機外映像カメラも搭載
機内は従来より天井が高く開放感があり、荷物棚も大きい。また地味なところだが、座席に設置されたエンターテイメントシステムの床上機器が小型化されて椅子の脚に組み込まれ、ケーブル類も床上ではなく床下に内蔵されている。今回の機体のエンターテイメントシステムはタレス社製だが、パナソニック社製のシステムも選択可能で、同様のサイズとのこと。
「従来の飛行機では、座席の下に機器の箱が置かれて足元の邪魔になっていました。またファーストクラスやビジネスクラスでも配線は床上に飛び出していました。小さな改良ですがお客様の乗り心地を改善しました」
もうひとつ、飛行機ファンにはうれしい改良点がある。垂直尾翼の上と前輪部分に設置されたテレビカメラの映像を、地上滑走中や飛行中に座席のエンターテイメントシステムで見ることができるのだ。この機能はもともと、エアバスの2階建て超大型機「A380」で導入されたもので、本来の目的は地面から高くなったコックピットの視界の補助。つまりパイロットのための設備なのだが、
「せっかくカメラがあるのだからと乗客も見られるようにしたところ大好評だったので、A350XWBにも設置しました」
とのこと。つまりA350XWBはわざわざ機内エンターテインメントとしてこのカメラを設置したというわけだ。エアバスでもA380とA350XWBにしかないとのことで、JALにA350XWBが多数導入されれば日本でも身近になるだろう。
また、今回飛来した機体は最終段階のテストとして様々なデータを取得しており、機内にはデータ取得のためのコンピューターのほか多数のセンサーが設置されていた。主に温度、湿度などエアコンの状況やWiFiなど、乗客の機内環境をチェックしているとのことだ。
なお日本航空向けのA350XWBは2019年に-900の初号機が納入され、数か月の訓練を経て運航開始。-1000の納入時期は未定だが数年後になる模様だ。
Image Credit: 大貫剛
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