原因は伴星か恒星風か?水素とヘリウムの外層を失った大質量星
sorae.jp / 2019年3月21日 17時28分
この画像は、渦巻銀河「NGC 3938」の周囲にかつて存在した青色巨星を表したイメージ画像です。おおぐま座の方向約6500万光年離れた場所に位置する「NGC 3938」には、渦巻腕を沿うように多くのHII領域と青く若い星団が確認されており、盛んな星形成活動が行われている銀河であることが分かります。
イメージ画像の様な青色巨星はこの腕の中で大質量星として誕生しました。太陽の50倍の大きさと、燃料を大量に消費し高温の青い輝きを放っています。この様な大質量星は寿命が短く、星としては短期間で超新星爆発を起こし、その一生を終えます。
2017年5月には、「NGC 3938」の腕の中で超新星「SN 2017ein」が発見されています。この超新星は、観測したスペクトルからIc型超新星に分類。Ic型は、水素とヘリウムの外層を失った大質量星が引き起こす超新星です。それらを失う原因は、恒星風や周囲の天体への質量転移など様々な可能性が考えられます。
2枚目の画像は、2007年にハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ2「WFPC2」で撮影されたもの。超新星「SN 2017ein」観測後にハッブル宇宙望遠鏡のアーカイブから、さかのぼって調査が行われました。そして、2007年当時の画像から「SN 2017ein」の前駆星(progenitor star)と思われる天体が確認されました。
この前駆星は、連星系(または多重星)であった可能性も考えられており、別の大質量星に水素やヘリウムを剥ぎ取られた結果、Ic型超新星になったのかもしれません。しかし、その詳細はまだ分かっていません。
Image Credit:NASA, ESA, and J. Olmsted (STScI)
https://www.spacetelescope.org/images/opo1847a/
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