28年のディスプレイの呪縛から解放。折り畳みスマホが開くデバイス進化
sorae.jp / 2019年5月6日 18時9分
「宇宙、それは最後のフロンティア…」
誰もが知るスター・トレックの感銘深いオープニングメッセージだ。
宇宙時代に向けて、スマートフォンは適応していけるのだろうか?
そんな荒唐無稽な考察の第2回は、ディスプレイに関する考察だ。
現在のスマートフォンは、大画面化・大型化という進化がすすんでいる。スマートフォンを見ると、ほぼ前面はディスプレイだけといってもよい形状だ。特に峡ベゼル化により、最新モデルは前面すべてがディスプレイと化している。
スマートフォンは、ある意味ディスプレイフォンと呼んでもいい程で、これがスマートの最大の特徴でもあり、差別化を生み出さない原因でもある。この板上でサイズが限定されるディスプレイを搭載しなければならないことが、スマートフォンの進化を大きく制限しているといっても過言ではない。
ディスプレイは液晶から有機ELなどへの進化もあるが、液晶パネルの第1世代が1991年に登場した、およそ28年前から現在に至るまで、「板上の表示装置」であることは、なんら変化がない。
表示する映像や画像などは、デジタル技術の進歩により、解像度は大きく向上しており、ディスプレイの物理的な表示能力を超えつつある。
高画質、高詳細なデータにおいては、パソコンやスマートフォンのディスプレイ上でフル表示ができず、縮小表示で閲覧することも少なくない。ディスプレイも解像度や表示速度、省電力化などが向上してはいるが、映像や画像の高画質化に追いつけていない感は否めない。
また現状のディスプレイでは、高画質な映像や画像を表示や視認性をあげるためには、ディスプレイも大型化するしか選択肢はないが、スマートフォンのように持ち歩くガジェットでは本体サイズに制限があるため、搭載できるディスプレイサイズには限界がある。
スマートフォンを大型ディスプレイ化すれば、視認性も向上するが、重さも、大きさも、消費電力も大きくなり、モバイルデバイスでもっとも重要な機動性が損なわれてしまう。
つまりスマートフォンにとって、最大の特徴であり、利便性である「ディスプレイ装置」こそが、進化を妨げているが足かせとなっているという、皮肉な結果となっているのだ。
まさに28年にわたるディスプレイの呪いが、モバイルデバイスの未来に立ちはだかってきたといっても良いだろう。こうしたディスプレイが抱える問題の解決に挑んでいるのが、いま話題のディスプレイ折りたたみ型のスマートフォン「フォルダブルスマホ」だ。
フォルダブルスマホは、極薄のフィルム状のディスプレイを採用することで、ディスプレイ自体を折り曲げることを可能としたスマートフォン。折り畳んだ状態では手帳サイズのスマートフォンとして、ディスプレイを開いた状態では、タブレットのような2倍の広さの画面が使えるスマートフォンである。
フォルダブルスマホの登場により、初めてディスプレイ形状は、「固定した板」から「可変する形状」となるわけだが、ここで重要なのが「ディスプレイが折り曲げられる」というキーテクノロジーだ。
つまりこれからのディスプレイはスマートフォンに限らず、板上ではなく「形を変えられる」ということ、つまり今後のガジェットは、28年にわたる「ディスプレイは板」という呪縛から開放された事になる。
液晶パネルが登場以来、ディスプレイは板状のままであった。このことから、常に板上ディスプレイが搭載可能なガジェットしか作れなかった。板状のディスプレイ搭載という制限がなくなれば、スマートフォンだけでなく、ディスプレイを搭載する機器やデバイスの形態やデザインは大きくかわる。ガジェットやデバイスは、自由なデザイン、自由な形状を手に入れることができるのだ。
実際、ディスプレイが曲げられる前提であれば、
・巻物状にディスプレイを収納するガジェット
・腕などにディスプレイを巻き付けるガジェット
・身体にディスプレイを貼り付ける
・バッグや衣類にディスプレイを貼り付ける
・既存の機器や建造物にディスプレイを貼り付ける
など、様々な物と場所で表示が可能となる。
こうしたサイズや搭載機器に制限されないディスプレイは、宇宙時代のデバイスへの道を大きく開くことができるだろう。
スマートフォンのクラウドデータ共有や音声操作に対応した小型デバイスや移動先デバイスなどの進化を劇的に促すからだ。
いま、宇宙は人類のフロンティアとして、再び我々の身近なものなろうとしている。
手の中にあるガジェットという世界も、再び新しい世界への変革に向かう時期に来ているのだ。
Image Credit:ファーウェイ(Huawei Mate X)
文/庄司恒雄
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