地球の水の起源は彗星か。NASAの空中天文台の研究成果より
sorae.jp / 2019年5月25日 20時25分
こちらの画像は、ボーイング747を改造したNASAの成層圏天文台「SOFIA」が昨年12月に撮影した「ワータネン彗星(46P/Wirtanen)」の姿。オレンジ色のフィルターを通して撮影されているため、緑がかった実際の色合いとは異なります。
SOFIAがワータネン彗星を撮影したのは、彗星に含まれる水と地球の水を比較するためでした。ご存知のように、水は水素と酸素が結びついた水分子の集まりですが、その一部は通常の水素よりも重い「重水素」と酸素が結び付いた「重水」でできています。重水が含まれる割合は水が存在する環境に左右されますが、重水を含む割合が近いほど、同じ起源を持つ水だと推測することができます。
NASAが5月23日に発表した研究成果によると、SOFIAで撮影したワータネン彗星の赤外線データを分析した結果、ワータネン彗星と地球の水における重水の比率は同じであることがわかりました。これは、地球の水が彗星からもたらされた可能性を示す一つの証拠となります。
彗星を赤外線で捉えることは、たとえば国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」のような地上の天体望遠鏡でも可能です。しかし、地上から重水の割合を調べようとすると、地球の大気中に含まれる水の影響を受けてしまいます。
いっぽう、SOFIAは高度およそ1万2000メートルの成層圏を飛行するので、大気中の水の影響を極力受けずに観測できるのです。
先日も宇宙航空研究開発機構(JAXA)から、初代「はやぶさ」が微粒子を持ち帰った小惑星「イトカワ」の水素と重水素の比率が、地球とほぼ同じであると発表がありました。そのいっぽう、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」が観測した「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」の場合は水素と重水素の比率が地球とは大きく異なることがすでに判明しており、太陽系の水がたどった歴史の複雑さを物語っています。
地球の水がどのようにしてもたらされたのかを知るためには、もっと多くの天体について調べなければならないようです。
Image credit: NASA/SOFIA
https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=7409
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
約84%の隕石の起源を新たに特定 これまでの約6%から大幅に増加
sorae.jp / 2024年11月16日 22時5分
-
あけおめ!? 2024年11月12日から火星の新しい1年が始まる
sorae.jp / 2024年11月12日 21時0分
-
土星初のトロヤ群小惑星「2019 UO14」を発見 水星以外の全ての惑星でトロヤ群小惑星を発見
sorae.jp / 2024年11月9日 20時57分
-
赤色矮星を公転する惑星にも生命を支えられる安定した大気が存在する可能性
sorae.jp / 2024年11月3日 21時13分
-
スカイ社、NASAとUSGSと提携し、成層圏からの気候変動への取り組みを強化
共同通信PRワイヤー / 2024年11月1日 10時42分
ランキング
-
1日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
2「高齢で廃業」店内に放置された犬19匹、ふん尿にまみれ…荒稼ぎしたブリーダー業の末路に「胸が痛い」
まいどなニュース / 2024年11月28日 7時50分
-
3ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
4「俺、無精子症だから」と避妊してくれない彼。生理が来ないことを告げると“まさかの反応”
女子SPA! / 2024年11月28日 15時47分
-
5年収1,000万円なんてこんなもん…42歳で部長に抜擢の〈大企業エリート〉。質素すぎる毎日に、部下「夢がない」「このままこの会社にいても」と絶望
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください