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銀河の定説を覆す新たな内容を発表。国立天文台野辺山にて観測

sorae.jp / 2019年6月6日 20時39分

長野県南佐久郡南牧村にある国立天文台野辺山は6月5日、同天文台の45m電波望遠鏡を使った愛媛大学の小山舜平氏らによる研究チームの観測によって、「銀河が星を生み出す活発さには銀河の形が影響を与えている」とする定説をくつがえす結果が得られたと発表しました。

銀河にはさまざまな形をしたものがありますが、大きく分けると「円盤銀河」と「楕円銀河」の2つに分類することができます。

円盤銀河には、天の川銀河やアンドロメダ銀河をはじめとする渦巻銀河や、レンズ状銀河と呼ばれるものが含まれます。もう1つの楕円銀河は、先日ブラックホールの直接撮像に成功したM87のように、目立った構造がなく楕円型をしている銀河です。

円盤銀河に分類される「アンドロメダ銀河」(Astronomy Picture of the Dayより。Credit: Lorenzo Comolli)

楕円銀河に分類される「M87」(Astronomy Picture of the Dayより。Credit: Adam Block, Mt. Lemmon SkyCenter, U. Arizona)

従来の観測によって、星形成活動が活発な銀河には円盤銀河が多く、不活発な銀河には楕円銀河が多いことがわかっています。若くて星形成が活発な銀河は、年老いて不活発な銀河に進化していくと考えられていることから、「銀河の形が楕円型に変化することで、星形成活動の効率が落ちていく」という、銀河の形が星形成活動に影響を与えているとする説が支持されてきました。

小山氏らの研究チームはこの定説を検証するために、星形成が活発な銀河から不活発な銀河へと進化する途中の段階にあるとされる「グリーンバレー銀河」というタイプの銀河に着目しました。グリーンバレー銀河は進化の度合いが比較的そろっているため、銀河の形と星形成活動の関係性をより正確に調べることができます。

観測対象となったグリーンバレー銀河(円盤型13天体と楕円型15天体)の星形成活動を調べたところ、どの銀河も活動そのものは低調だったものの、円盤型と楕円型の間で星を形成する効率に差は見られませんでした。

つまり、「銀河の形が星形成活動を左右する」という定説に反して、銀河の形は星形成活動に影響を与えていないということが、今回の研究によって判明したのです。

グリーンバレー銀河における星形成の効率は、円盤型と楕円型で違いがなかった

とはいえ、今回の研究でも「円盤銀河の星形成活動は活発で、楕円銀河の星形成活動は不活発」という従来の観測結果は否定されていません。銀河の形と星形成の活動度を結びつけている何か別の原因があるはずです。

研究チームは残された謎に迫るため、M87のブラックホール撮影にも貢献した南米チリの「アルマ望遠鏡」を使い、グリーンバレー銀河をより詳細に観測する予定です。

 

Image credit: 国立天文台
https://www.nro.nao.ac.jp/news/2019/0605-koyama.html
文/松村武宏

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