地球と火星の中間サイズの系外惑星を発見。TESSミッションで最小記録を更新
sorae.jp / 2019年7月3日 20時15分
NASAのゴダード宇宙飛行センターは6月27日、系外惑星探査衛星「TESS」の観測データを用いたVeselin Kostov氏らの研究によって、南天の「とびうお座」の方向およそ35光年の距離にあるM型の恒星「L 98-59」に地球サイズの系外惑星を3つ発見したと発表しました。こちらの画像は、今回見つかった系外惑星の想像図と、太陽系の地球と火星を同縮尺で並べたものです。
L 98-59の周囲で一番内側を公転する「L 98-59b」の大きさは地球の80パーセントと小さく、火星と地球の中間くらいの大きさ。これは今までにTESSが発見した最小の系外惑星よりも10パーセント小さく、TESSのミッションにおける系外惑星の最小記録を更新しました。残る2つの系外惑星のうち、「L 98-59c」は地球の1.4倍、「L 98-59d」は1.6倍の大きさを持っています。
地球サイズの系外惑星と聞くと生命の存在を期待したくなりますが、3つの惑星はいずれもハビタブルゾーンの内側にあります。小さなL 98-59bの公転周期はわずか2.25日で、地球が太陽から受け取る量の22倍ものエネルギーが降り注いでいます。
L 98-59cとL 98-59dも同様で、公転周期はそれぞれ3.7日と7.5日、降り注ぐ放射線の強さは地球のおよそ11倍と4倍に達します。仮にこれらの惑星が初期の地球のような大気を持ち得たとしても、温室効果の暴走によって金星のような惑星になっていることでしょう。
地球のような環境が存在しないこともまた、一つの知見です。研究に参加したJoshua Schlieder氏は、「もしもL 98-59から太陽系を観測すれば、金星と地球は同じような惑星に見えるかもしれませんが、実際には異なります。L 98-59にあるような系外惑星を調べることで、なぜ地球と金星の環境は異なるのか、その秘密を解き明かせるかもしれません」と語ります。
なお、L 98-59bはあくまでも「TESSの観測史上最小」の系外惑星です。昨年運用を終了した宇宙望遠鏡「ケプラー」はこれよりも小さく、月よりも20パーセント大きいだけという非常に小さな系外惑星「Kepler-37b」を発見しています。
また、2021年に打ち上げ予定の「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡では系外惑星の大気の観測も実施される予定ですが、その観測対象の候補を探すこともTESSの任務の一つ。なぜ地球はこのようにして存在するのか、その答えにつなげるべくTESSの系外惑星探査は続きます。
Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
https://svs.gsfc.nasa.gov/13223
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
探査機「ボイジャー2」のデータが明かす天王星の謎、38年越しの科学的発見
マイナビニュース / 2024年11月19日 17時41分
-
ガリレオの夢を継いで - 木星衛星の海に挑む探査機「エウロパ・クリッパー」
マイナビニュース / 2024年11月16日 7時0分
-
あけおめ!? 2024年11月12日から火星の新しい1年が始まる
sorae.jp / 2024年11月12日 21時0分
-
二重小惑星探査機「Hera」、日本製赤外線カメラで遠ざかる地球と月の撮影に成功
マイナビニュース / 2024年11月7日 18時32分
-
赤色矮星を公転する惑星にも生命を支えられる安定した大気が存在する可能性
sorae.jp / 2024年11月3日 21時13分
ランキング
-
1「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
2ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
3日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
4『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
マグミクス / 2024年11月28日 20時55分
-
5急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください