宇宙花火。赤と青で描く「イータ・カリーナ」の高解像度画像
sorae.jp / 2019年7月4日 21時29分
7月1日、宇宙望遠鏡「ハッブル」に搭載されている「広視野カメラ3(WFC3)」によって撮影された「りゅうこつ座イータ星」、通称「イータ(エータ)・カリーナ」の高解像度画像が公開されました。色は擬似的に着色されており、赤い色は可視光線で捉えられた窒素を、青い色は紫外線によって捉えられたマグネシウムをそれぞれ示しています。
イータ・カリーナは南天の「りゅうこつ座」の方向およそ7500光年先にある、非常に重い恒星どうしの連星系です。擬似的な超新星爆発によってたびたび増光することが知られていますが、1840年代には「おおいぬ座」のシリウスに次ぐ明るさまで増光し、肉眼でもはっきりと見ることができました。
その周囲には度重なる擬似的超新星爆発によって星雲が形成されています。画像に写っている2つのいびつな球体をくっつけたような形をした星雲は「人形星雲」と名付けられていて、1840年代の増光をもたらした爆発によって作られたと考えられています。
これまでイータ・カリーナとその周囲の星雲は可視光線や赤外線で観測されてきましたが、今回の画像では紫外線による撮影も実施されました。過去にハッブル宇宙望遠鏡に搭載されていた「広視野惑星カメラ2(WFPC2)」で撮影された下の画像と見比べると、人形星雲周囲の暗く見える部分を埋めるような構造が、今回の画像では紫外線によって写し出されていることがわかります。
![](https://sorae.info/wp-content/uploads/2019/07/PIA20294_hires.jpg)
広視野惑星カメラ2(WFPC2)で撮影されたイータ・カリーナ(Credit: NASA, ESA and the Hubble SM4 ERO Team)
イータ・カリーナは、擬似的なものではない超新星爆発をいつ起こしてもおかしくないとされています。ただ、爆発の様子を地球から観測できるのは、それが起きてから7500年後のことになります。
もしかすると、イータ・カリーナとその周囲を取り巻く星雲の今この瞬間の姿は、すでに異なったものへと変化しているのかもしれません。
Image Credit: NASA, ESA, N. Smith (University of Arizona, Tucson), and J. Morse (BoldlyGo Institute, New York)
https://www.spacetelescope.org/news/heic1912/
文/松村武宏
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