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初期宇宙のブラックホールは直接崩壊で誕生した可能性

sorae.jp / 2019年7月5日 22時20分

カナダのウエスタン大学(ウエスタン・オンタリオ大学)は6月28日、初期の宇宙では恒星の超新星爆発を必要とせずに直接ブラックホールが形成されたとするShantanu Basu氏とArpan Das氏による研究結果を発表しました。

今からおよそ130億年前(ビッグバンから8億年ほど)の初期宇宙を対象としたこれまでの観測では、強力な電磁波を発する「クエーサー」の存在などを通して、当時すでに超大質量ブラックホールが存在していたらしいことがわかっています。

しかし、現在の宇宙のように「重い恒星が超新星爆発を起こしたときにブラックホールが誕生する」と仮定した場合、ビッグバンから8億年程度では時間が足りず、このタイミングで超大質量ブラックホールが存在する理由をうまく説明することができませんでした。

この謎を説明するために近年浮上してきたのが「direct collapse(直接崩壊)」という新しいシナリオです。今回のBasu氏らの研究は、この直接崩壊シナリオを裏付けるものとなっています。

Basu氏がLive Scienceに語ったところによると、初期の宇宙では星形成の活発な銀河からの放射線が周辺の環境に影響を与え、ガスの集まりから恒星が誕生することを抑制したといいます。やがて恒星を作り出せないガスの塊の重さが限界を超えて崩壊し、恒星の超新星爆発を経由せずに直接ブラックホールが誕生した可能性があるとしています。

ただし、宇宙のあちこちで恒星が誕生し銀河が成長していく過程で、ガスの量も減っていきます。直接崩壊によってブラックホールが誕生できた期間は(宇宙の歴史からすれば)そう長くはなく、1億5000万年ほどの間に限られていたようです。

それでも「(その期間の)初期に誕生したブラックホールは、1万倍の重さにまで成長できた可能性があります」とBasu氏は指摘します。ガスからいきなりブラックホールが誕生し、急速に周辺の物質を取り込んで成長したことで、初期の宇宙でも超大質量ブラックホールが存在できた……直接崩壊シナリオは、その可能性を示しているわけです。

今年の3月、国立天文台ハワイ観測所の「すばる」望遠鏡を使った観測によって、およそ130億年前の初期宇宙に83個のクエーサーが新たに見つかったことをお伝えしました。すばる望遠鏡が見つけたクエーサーの中心に潜んでいると見られる超大質量ブラックホールも、直接崩壊によって誕生したブラックホールが急速に成長した姿なのかもしれません。

 

Image Credit: Scott Woods, Western University
[https://mediarelations.uwo.ca/2019/06/28/black-hole-formation/]
[https://www.livescience.com/65857-direct-collapse-black-holes-proved-theoretically.html]
文/松村武宏

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