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安心できる?隕石が大気中で爆発した「ツングースカ大爆発」レベルの天体衝突、想定よりも低確率だった

sorae.jp / 2019年7月8日 21時30分

今から111年前となる1908年6月30日、当時のロシア帝国(現在のロシア連邦)のシベリアの奥地で大規模な爆発現象が発生しました。2000平方キロメートル以上の範囲に渡って木々がなぎ倒され、大気中を伝わった衝撃波は世界中で検出されています。

現地では輝く雲も目撃されましたが、クレーターをはじめとした物証が乏しかったことなどから、「ツングースカ大爆発」と名付けられたこの出来事はさまざまな憶測を呼び、異星人の宇宙船が爆発したとする説まで登場するに至りました。

爆発から11年後の1929年に撮影された倒木の様子(Credit: Wikimedia Commons)

近年、隕石に由来する微小な物質が見つかったことで、何らかの天体衝突が原因であると確実視されているツングースカ大爆発ですが、NASAが6月27日に発表した研究結果によると、同程度の被害をもたらす天体衝突の頻度は、これまでの想定よりも一桁低いことがわかったといいます。

当時ツングースカに落下したのは直径50~80m程度の小惑星で、秒速およそ15km強のスピードで大気圏に突入したと見られています。爆発したときの高度はおよそ10~15kmで、その威力は1980年に発生したセントヘレンズ山の噴火における爆風のエネルギーに匹敵する10~30メガトンと推定されています。

今回、国際学術雑誌Icarusの特別号に掲載された一連の論文では、ツングースカ大爆発をもたらした天体衝突が再評価されました。その結果、これまでは同程度の天体衝突が数百年に一度発生するとされていたものの、再評価によって数千年に一度とより少ない頻度に改められています。

ただ、2000平方キロに被害をもたらした天体衝突の発生がより低頻度だったとしても、これはあくまで確率の問題です。実際にはそんな被害をもたらす天体が明日見つかるかもしれず、安心してばかりはいられません。現代では観測体制こそ整いつつあるものの、迫り来る天体から逃れる術を人類はまだ持っていないからです。

現に、2013年には同じロシアのチェリャビンスク州上空で隕石が爆発し、1000人以上が負傷しました。この天体は直径が10m前後、爆発のエネルギーは550キロトンとされています。ツングースカに落下した天体よりずっと小さかったとみられるものの、天体衝突は人命に関わる被害をもたらしうる天災なのです。

来年末以降に打ち上げられる予定のNASAの探査機「DART」は、地球近傍小惑星「ディディモス」の衛星(通称「ディディムーン」)に衝突し、その軌道をずらす実験を行うことになっています。小天体を見つけるだけではなく、その軌道を積極的に逸らすなどして天体衝突から逃れるための技術を、人類はいつ手にすることができるのでしょうか。

 

Image Credit: NASA/JPL/Caltech
https://www.nasa.gov/feature/ames/tunguska-revisited-111-year-old-mystery-impact-inspires-new-more-optimistic-asteroid
文/松村武宏

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