“アポロ計画陰謀論”を完全否定。月面で収集したサンプルの存在
sorae.jp / 2019年7月22日 21時30分
小さな保管容器を手にしたこちらの人物は、オーストラリア国立大学のTrevor Ireland氏。容器の中に収められているのは、アポロ11号のニール・アームストロング船長によって収集された月面の塵のサンプルです。
オーストラリア国立大学は7月19日、50年前のアポロ計画で収集され地球に持ち帰られたサンプルによって、「有人月面着陸は捏造されたもの」とするアポロ計画陰謀論がいかにして否定されるかを解説したリリースを公開しました。
アポロ計画では6回の有人月面探査が実施され、合計およそ380kgのサンプルが地球へと持ち帰られました。サンプルはオーストラリア国立大学を含む世界中の研究者によって分析され、今も研究の対象となっています。
当時の作業に携わったオーストラリア国立大学名誉教授のRoss Taylor氏は、アポロ11号で持ち帰られたサンプルの分析を実施したNASAのチームを率いていました。アームストロング船長が採取した石に対するチームの分析によって、月が全球規模で溶融する出来事を経験したことが明らかになっています。
こうしたサンプルからは、過酷な月面の環境にさらされ続けたことを示す痕跡や、地球の岩石にはない月の石に特有の組成が確認できます。Ireland氏は、このようなサンプルを地上で捏造しようとすれば「月まで往復するよりも多くの予算が必要になるだろう」としています。
また、Ireland氏は380kgというサンプルの量にも言及しています。この量のサンプルを地球へ運ぶことは「7回のミッションで月に向かった21人の宇宙飛行士が地球へ帰還するのと同じくらい難しい」として、無人のミッションで集めた月の石を使って有人ミッションを捏造するのも現実的ではないとコメントしています。
アメリカだけでなく、世界中の研究者にとっても大きな出来事だったアポロ計画。今もサンプルに強い関心を抱いている93歳のTaylor氏は、持ち帰られたサンプルを分析することは「一生に一度の機会だった」と語ります。2024年にも再開される予定の有人月面探査によってさらなるサンプルが集められれば、より多くの研究者がその機会を得ることになるのです。
Image Credit: Lannon Harley, ANU
https://anu.prezly.com/lunar-rocks-debunk-moon-landing-conspiracy-theories
文/松村武宏
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