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”地上から観測”した木星の衛星「イオ」の火山活動の研究結果が公開される

sorae.jp / 2019年7月23日 18時30分

アメリカ天文学会は7月22日、木星の衛星「イオ」における火山活動を5年間に渡って観測したカリフォルニア工科大学のKatherine de Kleer氏らによる研究結果を紹介しました。研究内容は論文にまとめられ、6月21日付でThe Astronomical Journalに掲載されています。

22年前に「ガリレオ」が撮影したイオの姿(Credit: NASA/JPL/University of Arizona)

イオは1610年にガリレオ・ガリレイによって発見された4つの「ガリレオ衛星」の1つです。木星や他の衛星の重力によって変形し、内部が加熱される「潮汐加熱」を熱源とした火山活動が知られていて、噴煙や噴火の様子は「ボイジャー」や「ガリレオ」といった探査機によって捉えられています。

de Kleer氏らの研究チームは、ハワイにある「ケック望遠鏡」と「ジェミニ北望遠鏡」を使って、イオの火山活動を2013年8月から2018年12月まで5年間に渡り観測。実際に噴火が観測されたのは5年間のうち合計271夜で、75か所以上の火山でおよそ1000回の噴火活動が認められました。

地上からの観測でイオの表面における火山活動が識別できるとは驚きですが、地球の大気によるゆらぎを補正する強力な補償光学によって、ガリレオに搭載されていた近赤外線作図分光器(NIMS)に匹敵する100~500kmという解像度で噴火の様子が捉えられています。

さまざまな波長で捉えられたイオの火山活動の様子(2017年5月28日にケック望遠鏡で撮影)

そのうち最も明るい噴火は数日間活動が続き、温度は摂氏500度以上に達したとされています。北欧神話の神にちなんで「Loki(ロキ)」と名付けられた火口が最も活発に活動していて、およそ470日間隔で113回の噴火が検出されています。

また、イオは地球の月のように自転と公転の周期が一致していますが、火山活動はイオが公転する方向とは反対側の半球に集中していることがわかりました。火山の分布がかたよっていることの理由はまだ不明とのことで、地上の望遠鏡や探査機によるさらなる観測が期待されます。

 

Image Credit: de Kleer et al. 2019
[https://aasnova.org/2019/07/22/five-years-watching-volcanoes-on-another-world/]
文/松村武宏

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