公転周期は7分。明滅する連星系を“5億画素”の観測装置が発見
sorae.jp / 2019年7月30日 23時0分
カリフォルニア工科大学は7月24日、同大学の光学観測装置「ZTF(Zwicky Transient Facility)」を使って「高速で公転する白色矮星の連星系」を発見した大学院生Kevin Burdge氏らの研究内容を発表しました。
ZTFは16個の大型CCDセンサー群で構成された、巨大なデジタルカメラのような観測装置です。CCDセンサー1つあたりの画素数はおよそ3600万、16個合計で5億7600万画素を誇ります。なお、複数の光学センサーを組み合わせた観測装置としては、東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡に取り付けられている「Tomo-e Gozen(トモエゴセン)」も同様の仕組みです。
■連星系「ZTF J1539 + 5027」を発見パロマー天文台にある48インチ(約122cm)のサミュエル・オスキン望遠鏡に取り付けられたZTFは、天の川の大半を毎晩観測しつつ、3夜ごとに夜空全体を観測します。今回発見された「ZTF J1539 + 5027」は、うしかい座の方向およそ8000光年先にある連星系です。
連星を成しているのは、どちらも地球と同じくらいの大きさをした白色矮星。比較すると片方は小さくて明るく、もう片方は大きくて暗いことがわかっています。サイズは小さいものの、2つの白色矮星を足し合わせた重さは太陽と同じくらいあります。
白色矮星とは、もともと太陽のように自ら輝く恒星だったものが年令を重ねて赤色巨星となり、やがてガスを放出しきって核融合を止めてしまった天体のこと。恒星としては死を迎えた姿と言え、プレスリリースでも「Dead Stars(死んだ星々)」と表現されています。
■公転周期はわずか「7分」白色矮星どうしの間隔は、地球から月までの距離の5分の1程度しかありません。連星系そのものが土星の中にすっぽりおさまってしまうくらいコンパクトで、公転周期はわずか7分。地球からは大きくて暗いほうの白色矮星が小さくて明るいほうの手前を横切るトランジットが観測できるため、「ZTFの観測データを見ると7分間隔の明滅パターンが見つかります」(Burdge氏)。
今後10万年程度明滅し続けるというZTF J1539 + 5027。研究チームは、100cm以上の望遠鏡があればアマチュアの観測者でもその様子を見ることができるとしています。
Image Credit: Caltech/IPAC/R. Hurt
https://www.caltech.edu/about/news/dead-stars-found-whipping-around-each-other-minutes
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
80億年後の地球の運命? 白色矮星を周回する岩石惑星の姿 カリフォルニア大らの研究
財経新聞 / 2024年11月21日 16時23分
-
1秒間に716日が過ぎる! 自転が最速の中性子星の1つ「4U 1820-30」を発見
sorae.jp / 2024年11月17日 21時0分
-
赤色矮星を公転する惑星にも生命を支えられる安定した大気が存在する可能性
sorae.jp / 2024年11月3日 21時13分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 2021年と2023年に超新星が見つかった渦巻銀河「NGC 4414」
sorae.jp / 2024年11月2日 18時41分
-
ブラックホール連星「はくちょう座V404星」は三重連星だった可能性
sorae.jp / 2024年11月1日 21時58分
ランキング
-
1「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
2ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
3日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
4『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
マグミクス / 2024年11月28日 20時55分
-
5急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください