恒星の死をくぐり抜けた惑星のコアは、10億年ほど生き続ける
sorae.jp / 2019年8月7日 23時0分
英ウォーリック大学は8月6日、白色矮星の周辺に存続する太陽系外惑星の検出方法について検討したDimitri Veras氏らによる研究内容を紹介しました。研究成果は論文にまとめられ、6月21日付で公開されています。
■恒星の死後も惑星のコアは最大10億年ほど生き続ける白色矮星とは、太陽の8倍よりも軽い恒星が水素を燃やし尽くす過程で赤色巨星となり、残った水素などの物質を周囲に放出しきったあとの姿です。もはや核融合で輝くことはないため、恒星としては死を迎えた姿と言えます。
恒星を巡る惑星はどうなってしまうのでしょうか。太陽の場合、赤色巨星化すれば地球の公転軌道と同程度にまで巨大化するとみられており、その過程で水星、金星、地球を一掃してしまうと予想されています。火星より遠くの惑星は生き残る可能性がありますが、現在と同じ姿というわけにはいかず、惑星の外側は膨張した太陽の活動によって剥ぎ取られ、コアだけが残されるのではないかと考えられています。
今回の研究においてVeras氏らのチームは、赤色巨星と化した星の周囲に系外惑星が存続していた場合、主星が白色矮星になってからどれくらいのあいだ生き残ることができるかをシミュレーションによって計算しました。その結果、主星が白色矮星になる過程でコアだけにされてしまった系外惑星は、その後1億~10億年程度は生き残るだろうとされています。
■生き延びたコアの存在は電波によって検出できる数億年のスケールで存続するのであれば、かろうじて生き延びた系外惑星を検出できるはずだとVeras氏は考えています。
主星の赤色巨星化によってもたらされるきびしい環境を生き延びた系外惑星のコアは、白色矮星の磁場と相互作用して一種の回路を形成し、電波を放出します。これは太陽系の木星とその衛星イオの相互作用によって生じる電波と同様の仕組みです。今回の研究によると、コアと白色矮星の相互作用によって放出された電波は地球上の電波望遠鏡でも検出可能だとされています。
ただ、すべての白色矮星でコアが生き残れるとは限りません。コアが白色矮星に近すぎると潮汐力によって破壊されてしまいますし、磁場が強すぎるとコアが白色矮星に飲み込まれてしまいます。生き残ったコアが検出される可能性がある白色矮星の候補として、研究チームは「GD 356」と「GD 394」を挙げています。
むき出しになった惑星のコアはもとより、連星ではない単独の白色矮星を周回する系外惑星の存在が確定した例もありませんが、もしも生き残ったコアを検出することができれば「やがて太陽系がたどり着く未来の姿を垣間見せてくれるだろう」とVeras氏は語っています。
Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick
https://warwick.ac.uk/newsandevents/pressreleases/dead_planets_can
文/松村武宏
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