48光年先の「スーパーアース」は昼夜の温度差が1000度もあった
sorae.jp / 2019年8月20日 21時16分
アメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学センターは8月19日、太陽系外惑星「LHS 3844b」の表面の様子に迫ったLaura Kreidberg氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、同日付でNatureオンライン版に掲載されています。
■熱い昼の地表からの赤外線放射をスピッツァーが捉えたLHS 3844bは地球からおよそ48.6光年先にあるM型の恒星「LHS 3844」を、わずか11時間(日ではありません)という短時間で1周しています。京都大学の系外惑星データベースによれば、軌道の半径は0.0062天文単位(およそ92万7000km、地球と月の平均間隔の2.4倍ほど)とされています。
主星にあまりに近いことから、LHS 3844bは自転と公転の周期が一致する「潮汐固定(潮汐ロック)」の状態にあり、片側がいつも昼、もう片側がいつも夜の世界になっていると考えられています。サイズは地球の1.3倍とみられており、「スーパーアース」に分類されています。
LHS 3844bを発見したのはNASAの系外惑星探査衛星「TESS」で、2018年のことでした。その後、同じくNASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」に搭載されている赤外線観測装置「IRAC」によって、LHS 3844bから発せられた赤外線を観測することに成功したのです。
スピッツァーの観測によって、表面の温度は昼側がおよそ1040ケルビン(摂氏770度ほど)、夜側はほぼ0ケルビン(摂氏マイナス273度ほど)だとみられており、昼夜の温度差は摂氏にして1000度に達します。観測された赤外線データをはじめ、厚い大気が存在しないらしいことや、主星が活動の激しいM型星であることなどから、LHS 3844bには大気が存在していないのではないかと考えられています。
■暗い地表は「月の海」のような景色かまた、今回の研究ではLHS 3844bの反射率を計測することで、地表の組成が調べられました。NASAのジェット推進研究所(JPL)でスピッツァーの運用に携わっている共著者のRenyu Hu氏は、LHS 3844bの地表はとても暗いことから、火山活動に由来する玄武岩に覆われているのではないかとしています。
玄武岩は、月の「海」を満たしている岩石でもあります。研究チームは、LHS 3844bでも火山活動によって玄武岩が噴出し、月の海のような光景が広がっていると予想しています。LHS 3844bは分類こそスーパー「アース」ですが、実際には玄武岩の海に覆われた巨大な暗い月のような天体なのかもしれません。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (IPAC)
https://www.cfa.harvard.edu/news/2019-20
文/松村武宏
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