【訂正】噴火活動の証拠? 木星の衛星イオのように活発な太陽系外衛星が存在か
sorae.jp / 2019年9月4日 21時22分
※当初ベルン大学の所在地を「ドイツ」としていましたが、正しくは「スイス」です。訂正の上、お詫び申し上げます。【9月5日20時30分追記】
スイスのベルン大学は8月29日、噴火活動する太陽系外衛星が存在する可能性を示したApurva Oza氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、現在プレプリント版がarXivにて公開されています。
![](https://sorae.info/wp-content/uploads/2019/09/20190829_MedienmitteilungUniBE_ExoMond_Illustration_UniBE_ThibautRoger_1200p_ger.jpg)
系外惑星「WASP-49 b」(右)と、噴火活動で質量を失いつつある系外衛星(左下)の想像図。左上に見えるのは主星の「WASP-49」
■潮汐作用で噴火する系外衛星が存在するかもしれない木星の衛星イオでは、巨大な木星の重力がもたらす潮汐作用によって内部が加熱され、活発な噴火活動が起きています。先日紹介したイオの噴火活動に関する研究によると、述べ271夜の観測期間内だけでも75以上の火山で合計1000回以上の噴火が確認されています。
イオのように活動的な衛星は、太陽系に限らず、太陽系外惑星の周囲にも存在しているかもしれません。研究チームが「exo-Io(エクソ・イオ)」と呼ぶこのような系外衛星は、仮に存在するとしてもサイズが小さいため、系外惑星と同じような方法で発見するのは困難でしょう。しかし、火山活動にともなう噴出物がある程度放出されていれば、地球からその痕跡を観測できるかもしれません。
今回の研究にも参加しているRobert Johnson氏は、2006年に発表した論文において、系外惑星で観測される大量のナトリウムが系外衛星(あるいは輪のような構造)の存在を示唆している可能性を指摘しています。
特に、系外惑星よりも離れたところでナトリウムが見つかれば、それは系外惑星から放出されたものではなく、その周囲にある系外衛星や輪などの存在に結びつく可能性が高まるというのです。
![](https://sorae.info/wp-content/uploads/2019/07/071418_io_2.jpg)
木星の衛星「イオ」(Credit: NASA/JPL/University of Arizona)
■系外惑星から離れた場所にナトリウムが見つかった今回、Oza氏らの研究チームがシミュレーションを行ったところ、系外惑星がもたらす潮汐作用は系外衛星の軌道を安定させますが、そのいっぽうで衛星の内部をイオのように加熱させて激しい火山活動を誘発し、惑星よりも多くのナトリウムやカリウムを宇宙空間に放出することが判明。シミュレーション結果と系外惑星の観測データを照らし合わせたところ、系外衛星の存在する可能性が高い系外惑星が5つ見つかったのです。
なかでも、オリオン座の南にある「うさぎ座」の方向およそ550光年先にある恒星「WASP-49」を2.7日ほどで公転する系外惑星「WASP-49 b」では、かなり離れた場所でナトリウムのガスが検出されました。研究チームによると、ナトリウムの存在を一番うまく説明できるのはエクソ・イオ……すなわち噴火活動をともなう系外衛星が存在する場合だといいます。
ただ、系外惑星から離れた場所でナトリウムが見つかったからといっても、ただちにイオのような系外衛星の存在に結びつくとは限りません。例として、WASP-49 bがイオン化したガスの輪を持っているから、という可能性が挙げられています。
Oza氏自身が「もっと多くの手がかりを見つけなければ」と語るように、活動的な系外衛星がたしかに存在すると結論するためには、他の多くの仮説と同様に、さらなる観測が求められるようです。
Image Credit: University of Bern, Illustration: Thibaut Roger
https://www.unibe.ch/news/media_news/media_relations_e/media_releases/2019/medienmitteilungen_2019/hints_of_a_volcanically_active_exomoon/index_eng.html
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
はるか彼方の惑星、腐ったタマゴの匂い!? 気温972度、ガラスの雨、時速5000キロの風が吹く巨大惑星
よろず~ニュース / 2024年7月12日 22時0分
-
港区立みなと科学館制作 プラネタリウム完全オリジナル映像番組 注目の最新作!7月13日より投影開始「太陽系アイスワールド氷と生命のふしぎ」
PR TIMES / 2024年7月10日 16時15分
-
すばる望遠鏡、カイパーベルトの外縁を超える可能性のある天体を発見
マイナビニュース / 2024年6月27日 14時54分
-
木星の「大赤斑」は1665年に発見された「永久斑」とは異なる可能性が高いと判明
sorae.jp / 2024年6月26日 21時0分
-
平均密度がわたあめ並の惑星「WASP-193b」を発見
sorae.jp / 2024年6月17日 21時6分
ランキング
-
1実は「ポイ捨て」しまくっていたキャベツの栄養 科学で解明「芯はおいしくない」と思うなかれ
東洋経済オンライン / 2024年7月15日 15時0分
-
2「ナナメ前が見えづらい!」そんなクルマがなぜ増えたのか 未だに続く改善の試行錯誤
乗りものニュース / 2024年7月15日 16時12分
-
3“新しい働き方”として定着すると思いきや…コロナ禍を経た今になって、強硬な「リモートワーク廃止論」を示す企業が現れた理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月16日 7時15分
-
4「面白くない」「嫌い」教師が落ち込んだ生徒の言葉 1位は男女共通 教えた後にキツい一言
よろず~ニュース / 2024年7月16日 7時30分
-
5熟睡のためのエアコン使用法「3つの誤り」を正す この夏も災害級の暑さに
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月15日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)