ブラックホールはどう見える? NASAが新しいシミュレーション動画を公開
sorae.jp / 2019年9月26日 21時20分
NASAは9月26日、ブラックホールの見え方を視覚化した一連のシミュレーション動画を公開しました。こちらはそのひとつで、ブラックホールを横から観察するとどのように見えるのかをシミュレートしたものになります。
■見えているのは「吸い込まれかけたガス」が輝く降着円盤といっても、光さえも抜け出すことができないブラックホールを直接見ることはできません。オレンジ色に輝いているのは、ブラックホールに吸い込まれかけている高温のガスなどが高速で周回する「降着円盤」と呼ばれるもの。円盤と名付けられてはいますが、その中心にはブラックホールがあるので、実際には幅の広い輪のような構造をしていると考えられています。
動画では、左向きに回転している降着円盤をやや斜め上から見下ろしたときの様子が再現されているのですが、右からブラックホールの裏側に回り込んでいくはずの降着円盤が、なぜか途中から手前に折れ曲がり、まるでブラックホールを飛び越えるようにして左へと流れているように見えます。
このように見えるのは、ブラックホールの強烈な重力によって光の進行方向が曲げられてしまうから。実際には裏側に回り込んでいる降着円盤からの光が重力によって大きく曲げられることで、横から見るとこのように折り曲げられたように見えるわけです。
ちなみに、ブラックホールを飛び越しているように見えるのは裏側にある降着円盤の上面から発せられた光ですが、ブラックホールの下には降着円盤の下面から発せられた光が重力に向きを曲げられて見えています。降着円盤の手前の部分は片側しか見えないのに、裏側の部分は表と裏の両方が同時に見えてしまうのです。
■上から見るとどう見える?横からでは不思議な形に見える降着円盤ですが、真上から見れば1つの円盤(輪)として認識することができます。こちらは、シミュレートされたブラックホールを縦方向に360度ぐるりと回転させ続けている動画。見る人に対する角度によって、降着円盤の見え方も変わる様子がよくわかります。
また、降着円盤の内側にある細いリングは、ブラックホールを2~3回(あるいはそれ以上)周回したのちに脱出した光によって描き出されるもの。このリングの内側にある暗黒の部分が、ブラックホールシャドウと呼ばれる部分です。
なお、今回シミュレートされたブラックホールが持つ事象の地平面(内側に入った光が脱出できない仮想の球体)の直径は、シャドウの直径の半分しかありません。人類がブラックホールの様子をここまで鮮明に捉えられる日は、いつかやってくるのでしょうか。
Image: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman
Source: NASA
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
火星の衛星は崩壊した小惑星の破片から形成された? 新たな研究が示唆
sorae.jp / 2024年11月22日 21時7分
-
限界の40倍以上で成長? 初期宇宙の巨大なブラックホールをウェッブ宇宙望遠鏡が観測
sorae.jp / 2024年11月8日 21時53分
-
宇宙初期の超大質量ブラックホール、誕生の謎解明か NASAらの研究
財経新聞 / 2024年11月8日 9時47分
-
織姫星「ベガ」囲む“直径1600億kmの円盤” NASAが画像公開 ハッブルとジェームズ・ウェッブで撮影
ITmedia NEWS / 2024年11月6日 8時5分
-
ブラックホール連星「はくちょう座V404星」は三重連星だった可能性
sorae.jp / 2024年11月1日 21時58分
ランキング
-
1「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
2ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
3日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
4『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
マグミクス / 2024年11月28日 20時55分
-
5急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください