創造された”宇宙おたまじゃくし”の中で育つ星々
sorae.jp / 2019年9月29日 17時30分
「おたまじゃくし星雲」または「IC 410」と呼ばれるこの領域で、星が生まれています。おたまじゃくし星雲は北の空にある星座「ぎょしゃ座」の方向、約12,000光年離れた場所に位置し、ダスト(ちりのような小さな粒子)が明るく輝いています。
画像の中央周辺にあるガスの雲は差し渡し100光年を超えており、星雲内にある散開星団「NGC 1893」の星々から出る放射や恒星風(星から出るガスの流れ)によってその形を変えていきます。これらの星々はたった400万年前(太陽系の誕生が約46億年前ですので、それに比べると非常に短い時間です)に生まれ、星雲全体に分布して星団を形作っています。
この画像で特徴的なのは「おたまじゃくし」の由来となっている2つの比較的濃い、流れるような物質が星雲の中心領域から尾を引いていることです。これらの「宇宙おたまじゃくし」はおよそ10光年の長さにわたっており、星形成の真っ最中である可能性が指摘されています。おたまじゃくし星雲に限らずこのような「星間物質」が濃いところで徐々に星の材料が集まり、やがて明るく輝き始めて星が誕生するのです。
新しく生まれた星とその材料を含んだ星間物質が相まって、星雲は可視光でも美しい情景を作り出します。しかし電波や赤外線で見ると星形成の現場により迫ることができるため、天文学者たちはさまざまな光の波長を使って観測を続けています。この画像はNASAの人工衛星「Wide Field Infrared Survey Explorer (WISE)」によって、赤外線で撮影されたものです。
関連:銀河の幼い姿は「おたまじゃくし形」かも
Image: WISE, IRSA, NASA; Processing & Copyright: Francesco Antonucci
Source: NASA
文/北越康敬
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