未発見の「第9惑星」その正体は小さなブラックホールだとする説が登場
sorae.jp / 2019年9月30日 22時33分
海王星よりも外側に存在するとされる未知の惑星が、実は小さなブラックホールなのではないかとする興味深い説が登場しました。学術誌「サイエンス」の電子版が9月27日付で報じています。
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■正体は地球10個分前後の重さを持つ「原始ブラックホール」か?太陽系では、現在8つの惑星の存在が確認されています。そのうち太陽から一番遠い海王星よりも外側には「太陽系外縁天体(TNO:Trans-Neptunian Object)」と呼ばれる小さな天体が幾つも見つかっています。かつて惑星に分類されていた冥王星も、太陽系外縁天体に含まれる天体のひとつです。
ところが、太陽系外縁天体の軌道を詳しく調べた過去の研究によって、海王星よりもずっと外側に「未知の惑星」が存在する可能性が浮上しました。2016年1月にカリフォルニア工科大学が発表した研究では、その正体は天王星や海王星に似たガス惑星で、重さは地球の10倍ほど。太陽からの距離が海王星の20倍も遠いところ(およそ600天文単位)を1万~2万年かけて公転していると予想しています。
今回論文が提出された研究では、「第9惑星」や「惑星X」などと呼ばれるこの天体の正体が、実は138億年前のビッグバンと同時に形成された「原始ブラックホール」なのではないかとしています。たまたま太陽系の近くにやってきた原始ブラックホールが太陽の重力に捉えられ、そのまま惑星のように周回し始めたのではないかというのです。
研究では原始ブラックホールの質量を地球の5倍~15倍と仮定しており、もしも5倍だった場合の事象の地平面のサイズを「実物大」として論文に掲載。もしも質量が地球の10倍であれば、事象の地平面のサイズは「ボウリングのボール程度」になるだろうとしています。紙に印刷できるサイズのブラックホールが太陽系にあるかもしれないというのも、なかなか刺激的です。
■ガンマ線の閃光から存在を確認できるかもしれない第9惑星の正体がガス惑星だった場合、すでに見つかっている惑星よりもずっと遠くにあるため、太陽光の反射や赤外線の放射などを観測するには困難を伴います。もしも原始ブラックホールだとすれば、光でその存在を捉えるのはほぼ不可能と言えるでしょう。
しかし研究チームは、ガンマ線の閃光から原始ブラックホールの存在をキャッチできるかもしれないとしています。論文では、原始ブラックホールは暗黒物質(ダークマター)が集まったハローに取り囲まれており、暗黒物質どうしの相互作用によってガンマ線の閃光が放射される可能性を指摘しています。
研究チームは今後、NASAのガンマ線宇宙望遠鏡「フェルミ」が観測した2008年からの観測データを分析し、惑星のように移動しているように見えるガンマ線源を捜索する予定です。
関連:NASAの宇宙望遠鏡は見ていた! 恒星がブラックホールに引き裂かれるレアな現象
Image: Jakub Scholtz et al.
Source: sciencemag.org
文/松村武宏
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