数千の星々を抱えたバブル構造が密集する領域
sorae.jp / 2019年10月10日 21時20分
運用終了まであと4か月を切ったNASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」が、「わし座」の方向にある星形成領域を撮影しました。ジェット推進研究所(JPL)が9月30日付けで公開しています。
■1つの「泡」には数百~数千個もの恒星が存在赤、緑、青とカラフルな色は、人が肉眼で見た色ではなく、赤外線の波長の違いをもとに着色したものです。青は恒星、緑は塵や有機物、赤は恒星によって温められた塵の存在を示しています。
ガスや塵が集まっている星形成領域では、たくさんの星が活発に生み出されています。今回撮影された領域では、温められた塵(赤)やその近くにおいて、誕生した星々の恒星風によってガスや塵が吹き飛ばされてできた泡状の構造(バブル)が生じています。その数は大小30か所以上で、1つのバブルには数百個から数千個もの恒星が集まっているとみられています。
他の星形成領域における観測結果や研究から、バブルのサイズは10光年から30光年と推定されていますが、正確なサイズはわかっていません。地球からバブルまでの距離を求めると、バブルの見かけの大きさから実際のサイズを算出することができますが、バブルまでの距離を測定することが難しいため、実際のサイズを知ることも困難なのです。
また、高速で移動する星からの恒星風が希薄な塵を押しのけたときに生じる弓形のバウショックも、今回公開された画像では4つが写し出されています。
今年の8月で打ち上げから16周年を迎えたスピッツァーですが、来年2020年1月30日をもって運用終了となり、その活躍にも幕が下りる予定です。
関連:運用終了まであとわずか。打ち上げ16周年「スピッツァー」が捉えた魅力的な天体たち
Image: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA
文/松村武宏
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