まるで宇宙の家紋。原始星を取り巻く塵の円盤構造が明らかに
sorae.jp / 2019年10月15日 21時20分
差し渡し12光年という長大なジェットを生み出す若い恒星の周囲には、ぐるぐると渦を巻く塵の円盤が存在していました。南米・チリの電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」を使った観測で、今まで見えなかったその構造が明らかになっています。
関連:噴き出す分子流の向きが不揃いな“生まれたばかりの双子星”を初観測
■高解像度を誇るアルマ望遠鏡が撮影した50万歳の若き星観測されたのは、地球からおよそ1300光年先、「オリオン座」の方向にある「HH 111」と呼ばれる天体です。HH 111には誕生したばかりの原始星が3つあり、そのうちの1つから長さ12光年に渡るジェットが噴出しています。
今回、このジェットを噴き出す原始星を取り巻く塵の円盤が、アルマ望遠鏡によって撮影されました。原始星の周囲では流れ込む塵やガスによって円盤が形成されていることが過去の観測ですでに判明していましたが、従来は観測できなかった内部構造が高い解像度を誇るアルマ望遠鏡によって明らかにされたのです。
観測結果を処理した画像には、50万歳という(宇宙のスケールでは)若い原始星に向かって流れ込む二筋の塵が、ぐるぐると渦を巻く様子が写し出されていました。その様子は、まるで家紋の「二つ巴」のようにも見えます。
■斜めに見える円盤の画像を処理して正面から見たイメージを作成地球からは原始星周囲の円盤が斜めに傾いて見えますが、研究チームはアルマ望遠鏡の観測データをもとに、まずは正面から見た場合のイメージを作成しました。ここから回転する円盤の平均的な明るさを差し引くことで、塵の渦を浮かび上がらせることに成功しています。
なお、HH 111に3つある原始星のうち、今回撮影されたものともう1つの原始星は2つで連星を組んでいますが、残る1つの原始星はジェットが噴き出していく方向へずっと離れた場所にいることがわかっています。かつて3つの原始星はもっと接近したところで誕生したものの、重力で影響を及ぼしあった結果、1つが遠くへ飛ばされてしまったものと考えられています。
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Image: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/Lee et al.
Source: ALMA
文/松村武宏
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