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熱い世界と冷たい世界。11光年先にある2つの太陽系外惑星は両極端な環境を持つ

sorae.jp / 2019年10月17日 23時41分

NASAの系外惑星探査プログラム(Exoplanet Exploration Program)は10月16日付で、同じ恒星を巡りつつも極端な環境を持った2つの太陽系外惑星を紹介しています。

■片方は11日、もう片方は20年かけて主星の周りを公転

2つの系外惑星があるのは地球からおよそ11光年先、アンドロメダ座の方向にある赤色矮星「GJ 15 A」の周囲です。GJ 15 Aは別の赤色矮星「GJ 15 B」と連星を成していて、連星全体は「Groombridge 34(グルームブリッジ34)」の別名でも知られています。

赤色矮星(背景)の至近を公転するスーパーアース「GJ 1214b」(中央左上)の想像図。GJ 15 A bもこのように主星のすぐ近くを公転している(Credit: ESO/L. Calçada)

内側を公転する「GJ 15 A b」は、地球のおよそ3倍の質量を持つ、いわゆる「スーパーアース」に分類される系外惑星です。わずか11日で主星を公転する小さな軌道を描いていることからその表面温度は高く、摂氏270度以上と推定されています。

いっぽう、外側を公転する「GJ 15 A c」は、公転周期およそ20年という大きな軌道を描いています。重さは地球のおよそ36倍(木星のおよそ9分の1、海王星のおよそ2倍)で、ガスを主体とした惑星と考えられています。主星から遠く離れているため表面の温度もかなり低いとみられており、想像図でも土星のような輪や氷を含んだ衛星が描かれています。

■主星のふらつき20年分の観測データから存在を確認

冷たい系外惑星「GJ 15 A c」の想像図。土星のような輪や凍った衛星が一緒に描かれている(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Francis Reddy)

GJ 15 Aを巡る2つの系外惑星は、惑星の公転にあわせて主星が前後左右へと円を描くようにわずかにふらつく様子をキャッチする方法(視線速度法)で存在が確認されました。

主星のふらつきは、惑星が1回公転するごとに1巡します。公転周期が11日のGJ 15 A bがもたらすふらつきは11日ごとに繰り返されるので、比較的短期間の観測でも発見することが可能です。

いっぽう、主星を20年かけて公転するGJ 15 A cがもたらすふらつきは、20年経たないと1巡しません。実際、GJ 15 A cの存在は主星(GJ 15 A)の観測データ20年分を分析した結果から見出されています。

GJ 15 A bに限らず、主星の非常に近くを公転するために表面温度が極めて高い「ホットジュピター」のような系外惑星は、短期間の観測でも見つけやすいために数多く発見されています。しかし、GJ 15 A cのように長い時間をかけて公転する系外惑星は、何十年にも渡る地道な観測を続けることで、ようやくその存在を知ることができるのです。

なお、2つの系外惑星が見つかったGJ 15 Aは、複数の惑星を持つことが知られている恒星としては、現在のところ太陽系に一番近い星となっています。

主星のふらつきを強調したイメージ動画。ふらつきの大きさと周期を調べることで、系外惑星の重さと軌道がわかる(Credit: NASA)

 

関連:小さな恒星に大きな惑星。予想外に巨大な太陽系外惑星が発見される

Image Credit: NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA)
https://www.spacetelescope.org/news/heic1918/
文/松村武宏

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