火星の穴掘りにまさかの事態。探査機インサイトのセンサーが地中から押し戻される
sorae.jp / 2019年10月28日 17時20分
NASAの火星探査機「インサイト」の地中センサーがトラブルを乗り越え、地下に向けて前進を再開したとお伝えしたのがちょうど一週間前の先週月曜日。よかったと胸を撫で下ろしたところだったのですが、思いがけぬトラブルに再び見舞われてしまいました。
関連:火星の地下5mを目指して穴掘り再開。探査機インサイトの地中センサー設置に進展
■地中からずるずると押し戻されてしまった「モール」NASAのジェット推進研究所(JPL)が10月28日朝(日本時間)に発表した内容によると、地下5mを目指して掘削を再開することに成功した熱流量計「HP3」(※)のセンサー部分:通称「モール」(the mole、もぐら)が、どういうわけか逆戻りして、火星の地表に半分程度飛び出してしまったようです。
NASAが公開している一連の画像をチェックしてみると、インサイトのミッションが始まってから325ソル目の12時28分38秒撮影の画像からモールが逆向きに動き始め、20分後の12時48分24秒撮影の時点で一旦停止しています(1ソル=火星の1日、時間はいずれもインサイトの現地時間)。
その後、16時7分34秒撮影の画像には再び後退し始めた様子が写っており、約50分後の17時0分49秒撮影の画像でようやく停止したことが確認できました。モールの全長は40cmありますが、その半分ほどということなので、4時間半ほどの間に20cmくらい逆戻りしてしまったことになります。
※…Heat Flow and Physical Properties Packageの略。火星の地中から放出される熱を測定するための観測装置
■穴を満たした土によって徐々に押し戻されてしまった?インサイトのツイッター公式アカウント(@NASAInSight)によると、モールに内蔵されている掘削用のハンマーが作動した反動でモール自身が跳ね返って一瞬浮き上がり、そのタイミングで穴の底に少しずつ土が溜まっていった結果、ついにモールが穴から押し出されてしまったとみられます。ようやく掘った穴が崩れた土に埋め戻されてしまったというわけです。
インサイトの運用チームはデータの検討を進めており、今後数日の間に対策が立案されるとのことです。
Image: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA 1,2
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
火星での「サバイバル」は可能? 仏研究グループが「宇宙農業」の可能性を探る火星ローバーを提案
sorae.jp / 2024年5月2日 20時45分
-
ボイジャー1号のトラブルが一部復旧 探査機の状態示すデータの受信に成功
sorae.jp / 2024年4月30日 11時0分
-
ULAがデルタIVヘビーの最終打ち上げに成功 デルタシリーズ運用に幕
sorae.jp / 2024年4月23日 6時24分
-
火星での生命探査にパラダイムシフトを起こすか 米大学院生が提案する斬新なミッション
sorae.jp / 2024年4月12日 9時22分
-
「ボイジャー1号」のデータが読み取り不能になっている原因をNASAが特定 修復には楽観的
sorae.jp / 2024年4月9日 21時0分
ランキング
-
1「スナップえんどう」の筋取りが、お家にあるアレを使うだけで簡単キレイに!驚きのアイデアに「目からウロコ」「見ていて気持ち良いー!」
まいどなニュース / 2024年5月6日 15時45分
-
2親を扶養に入れるメリット・デメリットを確認してみよう
マイナビニュース / 2024年5月7日 11時2分
-
3クルマのホイール「アルミ」と「スチール」どっちがいい? 足元を支える“重要パーツ”のメリット・デメリットとは?
くるまのニュース / 2024年5月7日 17時40分
-
4「サプリメント同士」の“のみ合わせ”リスク もっとも注意すべきは「同じような効果のものを何種類ものむ」ケース
NEWSポストセブン / 2024年5月7日 16時15分
-
5死者をデジタルで復活させる「故人AI」が海外で急速に普及 「悲しみに暮れる人の社会復帰を妨げる」という懸念も
NEWSポストセブン / 2024年5月7日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください