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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の巨大な「日除け」展開テストに成功

sorae.jp / 2019年11月20日 21時22分

2021年の打ち上げを目指して各種試験が行われているNASAの宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」ですが、今回ある重要な装置のテストが行われました。

■赤外線を観測する宇宙望遠鏡にとって重要な冷却装置

サンシールド(日除け)の展開テストに成功したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Credit: NASA/Chris Gunn)

その装置とは「Sunshield(サンシールド)」、日本語でいう「日除け」です。今回、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が装備するサンシールドがうまく展開するかどうかのテストが行われ、予定通りのサイズまで無事展開することに成功しました。このサンシールド、実は非常に重要な装置なのです。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線の観測に最適化されていますが、赤外線は天体だけでなく熱を持つ物体からも放射されます。そのため、宇宙望遠鏡の機体、特に望遠鏡の鏡やセンサーの温度は、できるだけ低い温度を保たなければなりません。

そこでジェイムズ・ウェッブでは、太陽光そのものをサンシールドで遮断する方法が採用されました。カプトン(ポリマーの一種)の表面にアルミニウムを蒸着させた極薄フィルムを5重にすることで、太陽側の温度が摂氏110度に達していても、反対の望遠鏡側は摂氏マイナス230~240度という低温が維持される仕組みです。

NASAはこの温度差を「片側では目玉焼きが作れるが、反対側では酸素が凍るような温度」と表現しています。

■テニスコートサイズの極薄フィルムを宇宙で展開

製造中のサンシールド。周囲に並んでいるエンジニアと比較すると、その巨大さが実感できる(Credit: Northrop Grumman)

ただ、サンシールドは最初から展開した状態で打ち上げることはできません。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は主鏡の直径が6.5mあるため、サンシールドはそれより大きくなければなりませんが、打ち上げに使用されるロケットのフェアリング(人工衛星や探査機などを搭載する部分)は直径5mなので、そのままではロケットに積むことができません。

そのため、主鏡とサンシールドは畳んだ状態で打ち上げて、観測位置に到着してから展開することになります。今回のテストは、畳んで打ち上げられたサンシールドが予定通り展開できるかを確かめる、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にとって重要なテストだったわけです。

ちなみに、展開したときのサンシールドの大きさは、約21m×14mもあります。硬式テニスのテニスコート(ダブルス)が23.77m×10.97mなので、横幅はテニスコート以上という巨大さ。製造に携わる人々の大きさと比べると、どれほど巨大なものかがわかります。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、再来年の2021年半ばに打ち上げられる予定です。打ち上げ後は太陽と地球の重力が釣り合うラグランジュ点のひとつ「L2」へと移動し、主鏡とサンシールドを展開したのちに観測がスタートします。

製造中の主鏡。直径6.5mに達する主鏡もかなりの大きさだ(Credit: NASA/Desiree Stover)

Image: NASA/Chris Gunn
Source: NASA
文/松村武宏

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