偶然が生み出したダイヤモンドリング。惑星状星雲と恒星のコラボ
sorae.jp / 2020年2月13日 21時3分
■今日の天体紹介:惑星状星雲Abell 33
青い泡のようにも見える幻想的なこの天体は、うみへび座の方向およそ2500光年先にある惑星状星雲「PN A66 33」。天文学者のジョージ・エイベルがまとめた惑星状星雲のカタログをもとにした「Abell 33」の通称でも知られています。
Abell 33をひときわ特徴付けているのは、画像の右下に輝く明るい星の存在です。「HD 83535」と呼ばれるこの星は地球とAbell 33の間に位置していて、本来Abell 33とは直接関係のない恒星です。ところが、地球からは偶然にもAbell 33の縁のあたりにHD 83535がギリギリ重なって見えるため、2つの天体によってダイヤモンドをあしらった指輪のような姿が描き出されています。
惑星状星雲は、超新星爆発を起こすに至らない太陽のような低質量の恒星が、赤色巨星から白色矮星へと移行する過程で大量のガスを放出した名残とみられています。目のような形をした「NGC 7293(らせん星雲)」や、蝶のような姿に見える「NGC 6302(バタフライ星雲)」のように不規則な形をすることが多く、円形に整って見えるAbell 33は惑星状星雲としてはめずらしい存在と言えます。
また、Abell 33の中央やや上寄りの位置には、ガスを放出しきって白色矮星になりつつある白い星が写っています。白色矮星はいずれ冷え切ってしまいますが、この星はまだ明るく輝いており、放射する紫外線によって電離されたガスが輝くことでAbell 33の幻想的な姿が浮かび上がっています。
この画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT)」によって撮影されました。
Image Credit: ESO
Source: ESO
文/松村武宏
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