こちらを見つめ返す目のよう。リングが際立つ均整のとれた銀河の姿
sorae.jp / 2020年2月17日 23時27分
超大型望遠鏡(VLT)によって撮影された棒渦巻銀河「NGC 1398」(Credit: ESO)
■今日の天体紹介:棒渦巻銀河NGC 1398白く輝く瞳を鮮やかな虹彩が取り囲む目のようにも見えるこの天体は、南天の「ろ(炉)座」の方向およそ6500万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 1398」の姿です。円盤(銀河円盤)の直径は天の川銀河よりも大きな13万5000光年ほどで、およそ1000億個の星々が存在するとされています。
瞳のような部分はNGC 1398のバルジ(銀河バルジ)で、バルジからは写真に向かって上下に棒状の構造が伸びていることがわかります。こうした棒状の構造は渦巻銀河の3分の2ほどが持つと考えられており、私たちが住む天の川銀河にも存在することが観測によって確認されています。
興味深いのは、バルジを取り囲むリング状の構造です。渦巻銀河や棒渦巻銀河の渦巻腕はバルジがある内側から外側に向かってらせん状に伸びた「開いた」構造をしていることが多いのですが、NGC 1398ではこのように「閉じた」リング構造が形成されています。
銀河の渦巻腕が消えずに存在し続けているのは、それぞれが独自の軌道を描きながら銀河を周回している星々の分布が密度波(疎密波)として伝わっていて、その高密度な部分が渦巻腕として見えているとする「密度波理論」というものがあります。NGC 1398のリング構造は、別の銀河との相互作用あるいはNGC 1398自身の重力的な非対称性がきっかけで生じた、密度波の影響によって形成されたとみられています。
この画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT)」によって撮影されました。
Image Credit: ESO
Source: ESO / フェルミ研究所
文/松村武宏
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