イルカ星雲?イヌ星雲?「シャープレス308」
sorae.jp / 2020年3月13日 22時48分
きれいな青色とこの形が、まさに左上を向いたイルカのように見えます。この天体は「シャープレス308」と呼ばれており、「ウォルフ・ライエ星」という種類に分類されます。太陽のように自ら光り輝く星を「恒星」と呼びますが、恒星と言っても多くの種類があります。ウォルフ・ライエ星は太陽の20倍以上の質量を持ち、「超新星爆発」を起こす手前の段階まで来ている恒星です。中心付近にある輝きがその「本体」ですが、周囲の「イルカ星雲」ができたのはなぜでしょうか。
恒星の1つである太陽も「太陽風」という形で自身のガスを吹き出していますが、ウォルフ・ライエ星も同様です(もっと多くのガスを吹き出しています)。この星の場合、現在に至るまでにずっと同じように吹き出していたのではなく、過去に吹き出したものはゆっくりと(と言っても秒速10~100キロメートルほどの速度ですが)動いていたと考えられています。そして後から秒速1000キロメートル以上とも言われる速度でガスが吹き出していき、前方にあったガスを一掃するように衝突して衝撃波を発生させたりガスを圧縮したりすることで、「星雲」として輝くことになったようです。シャープレス308の場合この星雲の年齢は約7万年とされており、差し渡しは約60光年で、地球から見た時の大きさは満月より少し大きい程度です。
画像の青色は電離した(電子を引きはがされた)酸素原子の光を観測して青で着色したものですが、青だからこそイルカに見える部分もありそうです。ちなみに画像の中心とその右にある光を「目」、左上のやや尖った部分を「耳」として「犬の顔」とも言われていますが、シャープレス308は地球から見るとおおいぬ座の方向にあるため、その点では犬と言ったほうがちょうどよいかもしれません。
関連:
青い泡の中のウォルフ・ライエ星
いて座の超新星爆発した天体。WR124が作り出すM1-67
Image: Image Credit & Copyright: Chilesope 2, Pleaides Astrophotography Team (Peking U.)
Source: NASA
文/北越康敬
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