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新型コロナウイルスの影響は宇宙からも見えている

sorae.jp / 2020年3月24日 21時13分

2019年12月に中国で最初に報告され、現在は欧米でも感染が拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)。その影響は地球観測衛星の観測データにも現れているとみられることを、欧州宇宙機関(ESA)が欧州と東アジアの観測結果を例に示しています。

■感染拡大や対策と連動するように中国やイタリアの二酸化窒素濃度が変動

地球観測衛星「Sentinel-5P」の観測データをもとに示された2020年1月下旬の東アジアにおける二酸化窒素濃度。北京(Beijing)周辺の濃度が1月上旬よりも大幅に低下している。ESAが公開した動画より引用(Credit: contains modified Copernicus Sentinel data (2019-20), processed by ESA)

ESAが公開しているのは、地球観測衛星「Sentinel-5P」によって得られた二酸化窒素の観測データです。二酸化窒素は自動車や工場などから一酸化窒素を経て排出される大気汚染物質のひとつとして知られています。2017年に打ち上げられたSentinel-5Pは大気汚染の観測を目的とした衛星で、二酸化窒素をはじめ二酸化硫黄、メタン、ホルムアルデヒド、一酸化炭素、オゾンといったガスの分布状況を、高度824kmの上空から調べています。

3月19日に公開されたのは、東アジアにおける2019年12月20日から2020年3月16日にかけての二酸化窒素濃度の推移を示した動画です。今年1月上旬には北京(Beijing)とその周辺に二酸化窒素濃度の高い領域が広く観測されていましたが、1月下旬には一気に減少。3月に入って再び増加し始めた様子が確認できます。

また、3月13日には欧州における2020年1月1日から3月11日にかけての二酸化窒素濃度の推移も公開されています。深刻な状況にあるイタリアに注目すると、1月上旬の時点ではイタリア北部に二酸化窒素濃度の高い領域が確認できますが、3月には欧州の他の地域と近いレベルにまで低下していることがわかります。観測される二酸化窒素の濃度は雲の量や天候にもわずかながら左右されますが、今回確認された濃度の増減は新型コロナウイルスの感染拡大にともなう経済活動の停滞や移動制限、封鎖措置などの影響による可能性が高いとみられています。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大は、今年打ち上げ予定だった欧露共同開発の火星探査ミッション「エクソマーズ」が2022年に延期された一因となったり、NASAの新型宇宙船「オリオン」や「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の開発が一時停止されたりと、宇宙開発にも影響を及ぼしています。

観測を行う地球観測衛星「Sentinel-5P」を描いた想像図(Credit: ESA/ATG medialab)

 

関連:「エクソマーズ」の打ち上げは2022年に延期。新型コロナウイルスの影響か

Image Credit: contains modified Copernicus Sentinel data (2019-20), processed by ESA
Source: ESA(1) / ESA(2)
文/松村武宏

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