X字形のジェットを持った電波銀河の謎に迫る
sorae.jp / 2020年5月12日 17時14分
一般的な銀河よりも強い電波を発している電波銀河のなかには、銀河中心核から噴出したジェットがX字形または翼の形に観測されるものがあります。ジェットがこのような形になるはっきりとした理由はこれまでわかっていませんでしたが、その仕組みが明らかになったとする研究成果が発表されています。
■一部が逆流してきたジェットの流れが別の方向に曲げられていたWilliam Cotton氏(NRAO:アメリカ国立電波天文台)らの研究チームは、南アフリカ電波天文台(SARAO)の電波望遠鏡「MeerKAT」を使い、X字形のジェットを持つ電波銀河のひとつとして知られる「PKS 2014-55」を観測しました。PKS 2014-55は南天の「ぼうえんきょう(望遠鏡)座」の方向およそ8億光年先にあります。
合計64基の電波望遠鏡で構成されるMeerKATを使った従来よりも高い解像度での観測による結果、PKS 2014-55の銀河中心核から双方向に噴出したジェットの一部が銀河へ落下するように逆流した際、その向きが銀河に受け流されるようにして別の方向へと曲げられたことで、特徴的なX字形の構造が形作られたことが明らかになったといいます。
研究チームによる今回の観測では、PKS 2014-55の銀河中心核から新しいジェットが噴出し始めている様子が確認されており、その噴出方向が古いX字形のジェットのうち長い部分と揃っていることがわかりました。このことから、長い部分は古い時代に噴出したジェットの本体とみられています。この古いジェットの一部が銀河に向かって逆流し、流れの向きが変えられて平仮名の「し」のような形が2組できたことで、全体ではX字形に見えるようになったというわけです。
なお、X字形が形成される理由としては、これまでに「ジェットを噴出するブラックホールの自転軸の向きが変化した」「2つのブラックホールがジェットの形成に関わっている」といった超大質量ブラックホールの関与を指摘する説の他に、「銀河に落下した物質の向きが変えられた」とする説も提唱されていました。今回のCotton氏らによる研究成果は、最後の説を支持するものとなります。
Image Credit: NRAO/AUI/NSF; SARAO; DES.
Source: 南アフリカ電波天文台
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
巨大な赤色巨星「かじき座R星」の泡立つ表面をアルマ望遠鏡が観測
sorae.jp / 2024年9月23日 21時0分
-
その間隔わずか約300光年 近接した超大質量ブラックホールのペアをハッブル宇宙望遠鏡が観測
sorae.jp / 2024年9月20日 21時0分
-
観測史上最長の「ジェット」=75億光年先のブラックホール付近―欧州の電波望遠鏡群で発見
時事通信 / 2024年9月19日 14時4分
-
超巨大ブラックホール誕生の謎解明に繋がる新天体を発見 国立天文台ら
財経新聞 / 2024年9月5日 13時30分
-
雄大に渦巻く“くじゃく座”の銀河「NGC 6744」 ダークエネルギーカメラが撮影
sorae.jp / 2024年8月28日 20時23分
ランキング
-
1健康診断の数値が改善する7つの習慣とは…いわき市で糖尿病の専門医師が解説・福島県
福島中央テレビニュース / 2024年9月23日 14時31分
-
2広島に瀬戸内の自然×シャトレーゼの魅力感じるリゾートホテル誕生
モデルプレス / 2024年9月24日 7時32分
-
3「高くても低くてもダメ」血糖値の正しい整え方 人格破綻まで招きかねない「低血糖」の恐怖
東洋経済オンライン / 2024年9月23日 17時0分
-
4「そうだったのか!」料理長が教える玉ねぎの剥き方が参考になる
おたくま経済新聞 / 2024年9月23日 18時0分
-
5どんな時にスマホを買い替える? 3位スペック不足を感じた時、2位故障した時…1位は?
まいどなニュース / 2024年9月23日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください