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卵を抱くペンギンのような銀河ペア「Arp 142」

sorae.jp / 2020年5月18日 22時21分

【本日の天体紹介:Arp 142】

画像の上のほうにある明るい部分を目、その右の尖った部分をくちばしと見ると、ペンギンのように見えるでしょうか?

この画像は2つの銀河「NGC 2936」と「NGC 2937」を観測したもので、まとめて「Arp 142」とも呼ばれています。ペンギンの部分に相当するNGC 2936は変わった形をしていますが、200~300万年前は普通の渦巻銀河であったと考えられています。NGC 2936がこのような形になってしまったのは、ペンギンの下にある「卵」のような楕円形の天体のためです。これがNGC 2937で、重たい楕円銀河であるためその重力によりNGC 2936が歪んでしまったのです。静止画像ではペンギンが卵を守っているような見た目ですが、実際には「卵」の重力が「ペンギン」の物質を引きはがしつつあるとも言えます。NGC 2936単体としてはイルカのようにも見えるため「イルカ銀河」とも呼ばれていますが、いずれにせよ若い星が大量に生まれている青白い部分と、黒っぽいダストレーンが複雑に絡み合った姿となっています。

このArp 142の画像はハッブル宇宙望遠鏡が昨年観測したものです。Arp 142は地球からおよそ3億光年離れており、おもに南半球で見える星座「みずへび座」の方向にあります。なお、今後10億年くらいのうちにこれらの銀河は合体して1つの銀河になってしまうと言われています。こうした銀河の衝突・合体をリアルタイムで見ることはできませんが、コンピューターで作成した動画がハッブル宇宙望遠鏡のWebサイト(英語)に「Hubblecast」として掲載されています。ただ2つの物体がくっつくのではなく、銀河に含まれる星々が複雑に混じり合っていく様子や、衝突・合体しつつある他の銀河の画像も見ることができますので、ぜひ見てみてください。

 

Image Credit: NASA, ESA, Hubble, HLA; Reprocessing & Copyright: Raul Villaverde
Source: NASA
文/北越康敬

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