巨人のような不思議な姿、星を生み出す「ミスティック・マウンテン」
sorae.jp / 2020年5月30日 22時25分
イータカリーナ星雲の一角にある「ミスティック・マウンテン」(Credit: Hubble, NASA, ESA; Processing: Judy Schmidt)
■今日の天体画像:イータカリーナ星雲のミスティック・マウンテン神話やファンタジー作品に登場するキャラクターのような、どことなく生物的な姿に見えるこの天体は、「りゅうこつ座」の方向およそ7,500光年先に位置する「イータカリーナ星雲」の一角にある通称「ミスティック・マウンテン」と呼ばれる領域。ガスと塵でできた柱の高さは、およそ3光年に達するとされています。
今から10年前の2010年4月、「ハッブル」宇宙望遠鏡の打ち上げ20周年記念としてミスティック・マウンテンは発表されました。このとき公開された画像は青(酸素)、緑(水素と窒素)、赤(硫黄)の3色を合成したカラフルなものでしたが、ハッブルが30周年を迎えた今年、Judy Schmidt氏によって当時のものとは異なる印象に仕上げられた上掲の画像が作成されています。
ミスティック・マウンテンはイータカリーナ星雲で誕生した明るい星々からの強い放射と恒星風による侵食を受けています。柱のような構造は侵食に耐えられるほど密度が高い部分で、そのなかでは新たな星が誕生しています。柱の最上端から左右へとトゲのように伸びているのは、柱の端の部分で誕生した若い星が噴出したジェットとみられています。同様のジェットはその左下にも見えています。
今はまだ巨人のようにも見える姿のミスティック・マウンテンですが、その内部で誕生した若い星や周囲の星々によって侵食され続け、今後数百万年以内に消えてしまうと考えられています。
![](https://sorae.info/wp-content/uploads/2020/05/heic1007a-1024x942.jpg)
2010年4月に発表された「ミスティック・マウンテン」。内部で誕生した若い星に由来するとみられるジェットが見えている(Credit: NASA, ESA, M. Livio and the Hubble 20th Anniversary Team (STScI))
Image Credit: Hubble, NASA, ESA; Processing: Judy Schmidt
Source: Judy Schmidt / NASA / ESA/Hubble
文/松村武宏
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