雪に例えられる小さな輝きの中にも大きな世界がある。球状星団「NGC 6441」
sorae.jp / 2020年6月5日 22時36分
夜に空から降ってくる雪のようにも見えますが、これはハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団「NGC 6441」の星々です。球状星団とはたくさんの星が文字通り球状に集まったもので、渦巻銀河の円盤を包み込むように分布する星々「ハロー(銀河ハロー)」の一部です。NGC 6441の場合は私たちの銀河系の中心から約13,000光年離れた場所にあります。実際にどのくらいの星が含まれているのかを調べるのは難しいのですが、全体の質量は見積もられており、太陽の質量の160万倍と言われています。これは私たちの銀河系の中ではもっとも重く明るいクラスの球状星団です。
NGC 6441には4つの「パルサー」も含まれています。これらのパルサーは1回自転するのにわずか数ミリ秒という非常に高速で回転している天体です。また、「JaFu2」と呼ばれる「惑星状星雲」もここには存在しています。「惑星」と名前がついていますが惑星とは関係がなく、中程度の質量をもつ星が進化の過程でその外層を周囲に噴き出し、それが輝いて見えるものです。惑星状星雲は天文学的にはほんのわずか数万年の間だけその輝きを保っています。「惑星」と呼ばれるゆえんは小さな望遠鏡で観測していた時代に惑星のように見えていたためで、天文学ではこのように名前と実体が異なるものもいくつかあります。
私たちの銀河系で知られているこのような球状星団は150個ほどです。球状星団には銀河で最初に生まれた星々が含まれていると考えられていますが、その起源や進化の詳細はまだわかっていません。渦巻銀河に比べると見た目の華やかさでは劣るかもしれませんが、一般に球状星団には数十万の星が存在すると言われており、雪に例えられるこの小さな輝きの中にもとてつもなく大きな世界があることがわかります。
Credit: ESA/Hubble & NASA, G. Piotto
Source: ESA/Hubble
文/北越康敬
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