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ハッブル宇宙望遠鏡の古いデータからプロキシマ・ケンタウリcを再確認

sorae.jp / 2020年6月5日 11時11分

ハッブル宇宙望遠鏡によって1990年代に得られたデータからプロキシマ・ケンタウリcが再確認された(Credit: NASA)

太陽に一番近いおよそ4.24光年先にある恒星「プロキシマ・ケンタウリ」では2つの太陽系外惑星が報告されていて、このうち内側を周回する「プロキシマ・ケンタウリb」は新しい観測装置によって最近再確認されています。もう一つの系外惑星「プロキシマ・ケンタウリc」について、「ハッブル」宇宙望遠鏡の古いデータから再確認されたとする研究成果が発表されています。

■20年以上前に自身が調べたデータを再び分析

Fritz Benedict氏(マクドナルド天文台、テキサス大学オースティン校)らの研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡の「高精度ガイドセンサー(FGS)」によって1990年代に取得されたデータを分析したところ、約1907日周期でプロキシマ・ケンタウリを周回している系外惑星が確認されたと発表しました。これはMario Damasso氏(トリノ天文台)らがヨーロッパ南天天文台(ESO)の望遠鏡を使って発見したとされるプロキシマ・ケンタウリcの公転周期とほぼ一致していることから、プロキシマ・ケンタウリcを再確認したものとされています。

実はBenedict氏は、1990年代にFGSのデータを使ってプロキシマ・ケンタウリに系外惑星が存在するかどうかを調べていました。FGSはもともとハッブル宇宙望遠鏡を観測対象の天体へ正確に向けるためのものですが、そのデータは星々の位置や固有運動を調べるためにも用いられることがあります。Benedict氏による当時の研究では、木星の8割よりも重く、公転周期が1000日以下の系外惑星はプロキシマ・ケンタウリに存在しないとされていました。

しかし、今年の初めにDamasso氏らによってプロキシマ・ケンタウリcの発見が報告されたことを受けて、Benedict氏は過去に自身が調べたFGSのデータを改めて分析。その結果、前述のように過去の研究で想定したものよりも長い約1907日という公転周期の系外惑星を確認するに至りました。

また、Benedict氏らが今回の分析結果をまとめたのとほぼ時を同じくして、Raffaele Gratton氏(INAF:イタリア国立天体物理学研究所)らがESOの超大型望遠鏡(VLT)によってプロキシマ・ケンタウリcが直接観測されていた可能性があるとする研究成果を今年の4月に発表しています。Benedict氏が自身の新たな研究成果とDamasso氏およびGratton氏らの成果をあわせて分析したところ、プロキシマ・ケンタウリcの質量は地球のおよそ7倍と算出されています。

Benedict氏は「これは新しい情報を得るときに古い情報がいかに役立てられるかという一例ですが、いかに引退するのが難しいかという一例でもあります。天文学は楽しいので!」とコメントしています。

 

関連:太陽に一番近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」で新たにスーパーアースを発見

Image Credit: NASA
Source: テキサス大学 / マクドナルド天文台
文/松村武宏

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