初期の地球や火星では隕石衝突時にアミノ酸が生成されていた可能性
sorae.jp / 2020年6月10日 22時31分
生命にとって欠かせない水や有機物などは地球に衝突した天体によって宇宙からもたらされたと考えられており、地球に落下した隕石からアミノ酸や糖が見つかったり、彗星から複雑な有機物が検出されたりしています。ところが今回、生命の誕生につながった有機物が隕石の衝突によって地球上で生成された可能性を示した研究成果が発表されています。
■実験では二酸化炭素、窒素、水、隕石に含まれる鉱物の反応でアミノ酸が生成された古川善博氏(東北大学)らの研究グループは、生命誕生前の地球における大気や海に隕石が衝突した際の化学反応を、物質・材料研究機構(NIMS)の一段式火薬銃を使って再現する実験を行いました。当時の大気を構成していたと考えられている二酸化炭素と窒素、海水の主成分である水、それに隕石に含まれる鉱物(鉄、ニッケルなど)を反応させた結果、グリシンやアラニンといったアミノ酸が生成されたとしています。
研究グループは、生命の材料となる有機物は宇宙からもたらされたと考えられてきたものの、地球へと運ばれた有機物の種類や量については定かではないと指摘。当時の大気から有機物が生成された可能性についてはこれまで放電にもとづく研究のみが報告されていたといいますが、今回の実験は隕石が高速で衝突したときのエネルギーによって二酸化炭素と窒素をもとに有機物が生成された可能性を示唆する結果となりました。
このことから研究グループは、生命誕生以前の地球では従来の予想とは異なる有機物の生成反応が起きていたことが示されたとしています。また、衝突によって生成された有機物は衝突地点の周辺に濃く分布することから、生命の誕生につながる化学進化において有利な条件となった可能性にも触れています。
さらに、このような有機物の生成は地球だけでなく、初期の火星においても起きていた可能性があると研究グループでは考えています。火星の大気にもかつては二酸化炭素と窒素が多く含まれており、その表面には海があったとみられることから、隕石の衝突によってアミノ酸が生成される段階までは進んでいた可能性に言及しています。
Image Credit: Tohoku University/ Yoshihiro Furukawa
Source: 東北大学
文/松村武宏
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