太陽探査機「ソーラー・オービター」近日点を通過、初の接近観測実施
sorae.jp / 2020年6月17日 17時7分
太陽探査機「ソーラー・オービター」を描いた想像図(Credit: ESA/ATG mediala)
欧州宇宙機関(ESA)は、今年の2月に打ち上げられた太陽探査機「ソーラー・オービター」による最初の接近観測が行われたことを発表しました。
6月15日、ソーラー・オービターが太陽から約7700万km(約0.5天文単位、地球から太陽までの距離のおよそ半分)の距離で近日点(太陽に最も近づく軌道上の一点)を通過するのにあわせて、撮像装置などのテストを兼ねた観測が実施されました。プロジェクトサイエンティストのDaniel Müller氏は、ソーラー・オービターの紫外線撮像装置はNASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」と同じ空間分解能を備えるものの、今回の観測は太陽までの距離がSDOの半分だったことから、SDOと比べて2倍の解像度で撮影することができたとしています。
現在ソーラー・オービターは地球から約1億3400万km離れたところを飛行しています。Müller氏によると、観測データをダウンロードできるのが1日あたり9時間に限られることもあり、すべてのデータをダウンロードするには1週間ほどかかるようです。データの処理を経て、7月中旬頃に今回撮影された画像が公開される予定とされています。
今年の2月10日に打ち上げられたソーラー・オービターは惑星の重力を利用して軌道を変えるスイングバイを何度も行うことが計画されています。現在は今年の12月に実施される1回目の金星スイングバイに向けて飛行を続けており、その後は2021年8月に2回目の金星スイングバイを、同年11月には唯一の地球スイングバイを行います。幾度かのスイングバイを経たソーラー・オービターは最接近時に太陽から4200万km(約0.28天文単位、地球から太陽までの距離のおよそ3分の1弱)まで近づく予定で、NASAが運用する太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」などとも連携して観測を行います。また、太陽の北極や南極を観測しやすくするために、軌道を最大で33度まで傾けることも計画されています。
Image Credit: ESA/ATG medialab
Source: ESA
文/松村武宏
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