ソーラー・オービターの太陽接近観測時の画像が公開「キャンプファイヤー」を初撮影
sorae.jp / 2020年7月18日 11時23分
今年の2月に打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)とNASAの太陽探査機「ソーラー・オービター」は、6月15日に太陽から約7700万km(約0.5天文単位、地球から太陽までの距離のおよそ半分)の距離を通過するのにあわせて、初の接近観測を行いました。この最接近直前に撮影された画像がESAから公開されています。
■太陽表面の小さなフレア「キャンプファイヤー」が初めて撮影されるこちらは最接近の半月ほど前となる5月30日に、ソーラー・オービターの紫外線撮像装置「EUI(Extreme Ultraviolet Imager)」によって撮影された太陽の画像です。撮影には極端紫外線の波長(17nm)が用いられており、画像では摂氏約100万度にも達する太陽コロナが示されています。撮影時のソーラー・オービターは地球と太陽のほぼ中間に位置しており、これまでで最も近くから撮影された太陽の画像とされています。
発表によると、ソーラー・オービターによる最初の接近観測により、太陽の表面近くで「キャンプファイヤー」と名付けられた小さなフレアが発生していることが明らかになったといいます。EUI主任研究員のDavid Berghmans氏(ベルギー王立天文台)によると、キャンプファイヤーは地球から観測できる太陽フレアと比べてかなり小規模ではあるものの、太陽のいたるところで生じているといいます。
キャンプファイヤーが発生する仕組みはまだわからないものの、このような小さなフレアが太陽コロナの加熱に関わっているとする理論がすでに提唱されているといいます。Frédéric Auchère氏(フランス宇宙天体物理学研究所)は「それ自体は小さなものですが、太陽全体で生じたキャンプファイヤーの効果が合わさることで、太陽コロナ加熱の主な原因となっているのかもしれません」と語ります。
これまで知られていなかった小さなフレアを撮影することに成功したソーラー・オービターですが、プロジェクトサイエンティストのDaniel Müller氏が「ほんの始まりにすぎません」と語るように、ミッションは始まったばかりです。今後ソーラー・オービターは金星や地球の重力を利用して軌道を変更するスイングバイを繰り返し、太陽から4200万km(約0.28天文単位、地球から太陽までの距離のおよそ3分の1弱)まで接近することが計画されています。
Image Credit: Solar Orbiter/EUI Team/ ESA & NASA; CSL, IAS, MPS, PMOD/WRC, ROB, UCL/MSSL
Source: ESA
文/松村武宏
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