「ねじのロケット」打ち上げ自動停止の原因は”点火器の温度上昇遅れ”だった
sorae.jp / 2020年7月20日 20時30分
インターステラテクノロジズ(IST)代表取締役の稲川貴大氏は7月19日、同日16時5分に打ち上げ予定だった観測ロケット「ねじのロケット」(MOMO7号機)の打ち上げ延期に関するオンライン記者会見を行いました。
■エンジンに取り付けられている点火器の温度が規定値に届かず自動停止稲川氏によると、ねじのロケットは予定時刻の打ち上げを目指して直前までシーケンスが進められていたものの、エンジンに2つ取り付けられている「点火器」のうち片方の温度が規定の値に達しなかったため、エンジン点火の0.2秒前にロケット側の判断によって打ち上げが自動停止(アボート)されたといいます。
MOMOのエンジンに使われている点火器は筒状に成形されたロウ(ロウソクのロウ)のなかに酸素(気体)を通すハイブリッド点火器と呼ばれるもので、筒内の点火玉に電圧を加えるとロウが燃えて燃焼室内に炎が出て、燃焼室に送り込まれた推進剤(エタノールと液体酸素)が着火される仕組みです。燃焼室内の全周に炎を行き渡らせるために、MOMOのエンジンには2つの点火器が備わっています。
ねじのロケットでは2つある点火器の着火は実行されたものの、片方の点火器の温度上昇に遅れが生じたことで、前述のように打ち上げ直前の定められた時刻までに推進剤の着火に必要とされる温度に達しなかったとされています。点火器の最終的な温度は2つとも同程度まで上昇していることから、温度上昇が単純に遅れたものと判断されています。
ただ、会見の時点ではまだエンジンの確認には至っておらず、点火器に着火するタイミングが遅れたのか、それともセンサーによる温度上昇の検出が遅れたのかまでは判明していません。稲川氏によると、過去に実施されたエンジンの地上燃焼試験においてハイブリッド点火器に着火できなかったことはあったものの、着火後の温度上昇が遅れたという今回のような現象は初めてだといいます。
前月の6月14日に実施された「えんとつ町のプペル MOMO5号機」では打ち上げ後にトラブルが発生しましたが、今回は打ち上げ前の自動停止により機体の健全性が保たれた点を前向きに捉えていると稲川氏はコメント。点火器に関連した部品の交換や対策を講じることで、可能であれば7月中にも再度打ち上げに挑みたいとしています。
Image Credit: インターステラテクノロジズ
Source: インターステラテクノロジズ(YouTube)
文/松村武宏
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