鉄の分布が描き出した「バタフライ星雲」の赤い縁取り
sorae.jp / 2020年7月25日 21時0分
■今日の天体画像:惑星状星雲「NGC 6302」(バタフライ星雲)
こちらはさそり座の方向およそ4000光年先にある「NGC 6302」、別名「バタフライ星雲」と呼ばれる惑星状星雲です。惑星状星雲は、太陽のように超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星が赤色巨星になった頃に周囲へ放出したガスによって形成されるもので、赤色巨星を経て白色矮星に進化していく熱い中心星が放射する紫外線によってガスが電離することで輝くとされています。
惑星状星雲の形はさまざまで、なかには整った円形をしているものもありますが、バタフライ星雲の場合は中心から双方向へと吹き出すようにおよそ3光年に渡りガスが広がっているために、地球からは蝶の羽のような形に見えています。この画像では羽を縁取るようにガスの一部が赤く輝いているように見えますが、これはバタフライ星雲における鉄の分布を強調して示したもの。白い部分のあちこちに見える黄緑色は窒素、青色は酸素の分布に対応しています。
白色矮星になりつつあるバタフライ星雲の中心星は表面温度がまだ摂氏20万度を超えており、可視光と紫外線で明るく輝いているとみられていますが、濃密な塵のトーラス(ドーナツ形の構造)にさえぎられているために直接見ることはできません。太陽もいずれは赤色巨星となってガスを放出し、その後に白色矮星へ進化すると考えられており、こうした惑星状星雲は数十億年後の太陽系の姿を予想させるものと言えます。
画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」によって取得されたデータをJudy Schmidt氏が処理することにより作成されたもので、Astronomy Picture of the Day に2020年7月21日付でピックアップされています。
Image Credit: NASA, ESA, Hubble; Processing & License: Judy Schmidt
Source: APOD
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
80億年後の地球の運命? 白色矮星を周回する岩石惑星の姿 カリフォルニア大らの研究
財経新聞 / 2024年11月21日 16時23分
-
どこかに写っている超新星 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した棒渦巻銀河「NGC 1672」
sorae.jp / 2024年11月6日 21時47分
-
じーっと見つめる目のような相互作用銀河 ハロウィンにあわせNASAやESAが紹介
sorae.jp / 2024年11月1日 16時58分
-
ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した小マゼラン雲の散開星団「NGC 602」
sorae.jp / 2024年10月28日 20時57分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“みずがめ座”の共生星「みずがめ座R星」
sorae.jp / 2024年10月25日 21時49分
ランキング
-
1ファミマの「発熱・保温インナー」はヒートテックより優秀? コンビニマニアが比較してみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 19時55分
-
2【冬の乾燥対策に】ドラッグストアで手軽に買える! ハンドクリーム5選
マイナビニュース / 2024年11月21日 17時0分
-
3とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
4今さら聞けない50・60代からの「新NISA」のキホン 投資で効率よくお金を増やすための心強い制度
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時10分
-
5冬は血管がドロドロになりやすい…「絶対に放置してはいけない脳卒中」リスクが急増する"危険な場所"
プレジデントオンライン / 2024年11月21日 18時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください